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【実務者必見】訪問看護レセプト業務の基本と対策|効率化と請求ミスゼロへ

【実務者必見】訪問看護レセプト業務の基本と対策|効率化と請求ミスゼロへ

公開:

2024年12月26日

更新:

2024年12月26日
【実務者必見】訪問看護レセプト業務の基本と対策|効率化と請求ミスゼロへ

「毎月のレセプト業務に時間がかかり、他の業務に手が回らない」
「請求ミスや返戻が多く、再請求の手間がかかる」
「少人数体制でもできる、効率的なレセプトの運用方法を知りたい」

このような悩みを抱える訪問看護ステーションの管理者は少なくありません。

この記事では、訪問看護レセプト業務を効率化し、請求ミスをゼロにするための具体的な方法を、以下のポイントで詳しく解説します。

  • 基本の仕組みを押さえた、確実な請求業務の進め方
  • 医療保険と介護保険、それぞれの請求の違い
  • 小規模ステーションでも実践できる、効率化のヒント

明日からすぐに実践できる情報が満載です。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

目次

訪問看護レセプト業務の基礎知識と請求の流れ


訪問看護レセプトは、提供したサービスに対する報酬を請求するための重要な書類です。確実な請求業務は、ステーションの安定経営に欠かせません。まずは、基礎知識と請求の流れをしっかり理解しましょう。



医療保険と介護保険では、請求方法が大きく異なります。以下の表で、主なポイントを整理してみましょう。

項目医療保険(診療報酬)介護保険(介護報酬)
保険者組合管掌健康保険
共済組合などの職域保険
国民健康保険
後期高齢者医療広域連合会
市町村
請求先社会保険診療報酬支払基金(支払基金)
国民健康保険団体連合会(国保連合会)
国民健康保険団体連合会(国保連合会)
提出書類訪問看護療養費請求書・明細書介護給付費請求書・明細書
算定方式訪問看護基本療養費と加算
+訪問看護管理療養費と加算
+訪問看護情報提供療養費
+訪問看護ターミナルケア療養費
+訪問看護ベースアップ評価料
【訪問看護費+加算-減算】×地域区分
提出期限翌月10日まで翌月10日まで
請求方法R6年7月~オンライン請求が開始※

オンライン請求が原則
※紙の請求も届出により猶予期間あり


≫医療保険と介護保険のどちらが適用になるか、詳しくはこちら「保存版】訪問看護で医療保険が使える条件は?介護保険との違いを徹底解説!」をご覧ください。

≫オンライン請求の詳細については、「【まだ間に合う!】訪問看護のオンライン請求・オンライン資格確認の義務化 | 対応や補助金申請期限などをわかりやすく解説」をご覧ください。



医療保険レセプトの特徴と請求の流れ


医療保険による訪問看護の請求は、主治医の指示に基づくサービス提供が基本です。月初めには、各利用者の指示書の有効期限と内容を確認しておきましょう。

医療保険レセプトは、以下の流れで処理されます。

  • ❶レセプトの作成(月末~翌月初)

    実績に基づき、以下の書類を作成します。
    • 訪問看護療養費請求書:
      • ⅰ. 国保または後期高齢者医療の被保険者以外:様式第一
      • ⅱ. 国保の被保険者:様式第二
      • ⅲ. 後期高齢者医療の被保険者:様式第三
    • 訪問看護療養費明細書:様式第四

  • ❷請求書の提出(翌月1~10日)

    国保連または支払基金へ提出します。2024年からはオンライン請求が始まりました。

  • ❸審査と返戻(翌月11日~月末)

    支払機関で内容が審査されます。不備があれば返戻となり、再請求が必要です。

  • ❹再請求(返戻後すみやかに)

    返戻された場合は、指摘された箇所を修正して再請求します。

  • ❺報酬の受け取り(翌月27日頃)

    請求翌月の27日頃に入金されます。例えば4月分は6月下旬の入金となります。長期の資金繰りを見据えた経営計画が大切です。




介護保険レセプトの特徴と請求の流れ


介護保険の請求では、居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいているかが重要なポイントです。

以下のステップを押さえて、確実な請求業務を進めましょう。

  • ❶サービス実績の確認と提供票作成(月末)

    訪問看護記録から実績をサービス提供票に正確に反映します。以下の点に特に注意が必要です。

  • ❷ケアマネジャーへの実績報告(月末~翌月初)

    ケアマネジャーは翌月1~10日の間に給付管理票を国保連に提出します。そのため、以下の点について早めに確実に報告し、確認を行います。
    • 訪問実績(日時・内容)
    • サービス提供票との相違点

      特に提供票と実績の単位数が異なる場合は、ケアマネジャーの給付管理に影響するため、必ず月末までに調整を済ませます。

  • ❸レセプトの作成(月末~翌月初)

    報告した実績に基づき、以下の書類を作成します。
    • 介護給付費請求書(事業所で1枚):様式第一
    • 介護給付費明細書(利用者ごとに1枚)
      • 要介護1~5:様式第二
      • 要支援1、2:様式第二のニ

  • ❹請求書の提出(翌月1~10日)

    国保連へオンラインで提出します。提出前に地域区分による単価の確認を忘れずに。

  • ❺審査と返戻(翌月11日~翌々月初旬)

    支払機関での審査期間です。不備があれば返戻となり、再請求が必要です。

  • ❻再請求(返戻後すみやかに)

    返戻への対応は迅速に行います。ケアマネージャーとの内容確認が必要になることもあります。

  • ❼報酬の受け取り(翌々月27日)

    医療保険同様翌々月下旬の支払いとなるため、資金繰りの計画に組み込んでおく必要があります。

    例:4月サービス分 → 5月1~10日請求 → 6月27日頃入金


医療保険と介護保険の違いを理解し、提出までの段取りを整えれば、小規模ステーションでも確実な請求ができますよ。特に介護保険は、ケアマネさんとの連携が命ですね。


訪問看護レセプトで請求ミスをゼロに!よくあるミスと対策


請求ミスは、返戻や再請求の手間だけでなく、ステーションの信頼性にも影響します。

訪問看護ステーションの事業所あたりの返戻率は15.6%と他医療機関より低いものの、受付件数に対する返戻件数の割合は2.2%と高い傾向にあります。つまり、1事業所あたりの請求件数が少ない訪問看護では、一度返戻が発生すると、続けて返戻が発生する可能性が高まる傾向が見られます。

(出典:社会保険診療報酬支払基金「統計月報(令和5年度)」)



訪問看護の請求業務では、以下の5つが代表的な請求ミスです。

  1. 【加算の算定ミス】:算定要件を満たしていない加算を請求してしまうミス
  2. 【資格要件ミス】:サービス提供を行ったスタッフが、必要な資格を保有していない場合に発生するミス
  3. 【サービス提供記録の不備】:記録内容に漏れや誤りがある場合に発生するミス
  4. 【保険証情報の確認不足】:保険証の有効期限切れや、負担割合の変更を見落としてしまうミス
  5. 【訪問看護指示書の不備】:指示書の有効期限切れや、内容に誤りがある場合に発生するミス




小規模ステーションでは、限られた人員でも確実なチェック体制が必要です。以下の3つの基本的な仕組みで、返戻を防ぎましょう。

  • チェックリストを活用する

    毎月の確認項目をリスト化し、漏れなくチェックができる仕組みを作ることで、ミスを未然に防ぐことができます。以下のチェックリストを参考に、ステーションに合ったリストを作りましょう。

すぐに使える!レセプト請求チェックリスト
項目チェック内容
利用者情報☐氏名、生年月日、住所、保険証番号などに誤りがないか
サービス提供記録☐日時、内容、単位数✓などに誤りがないか、記録漏れがないか
加算☐算定要件を満たしているか、正しい加算を請求しているか
保険証情報☐有効期限内か、負担割合に変更がないか
訪問看護指示書☐有効期限内か、内容に誤りがないか
その他☐請求金額に誤りがないか、提出期限を守れているか


  • 複数人での確認体制

    以下の役割分担表を参考に、ステーションの状況に合わせたダブルチェック体制を構築します。以下はダブルチェック体制の例です。

実施タイミング確認内容
サービス提供後即日実施内容の記録
週末中間チェック
月末/月初
未入力・不備の早期発見
算定要件、加算確認
請求前全体確認


  • 訪問看護ソフトを活用する

    入力支援やエラーチェック機能を活用し、人為的なミスを最小限に抑えることができます。訪問看護ソフトには、様々な機能が搭載されているため、ステーションのニーズに合ったソフトを選び、導入しましょう。

    お役立ち機能の例
    ・月次請求の自動計算
    ・帳票の一括出力
    ・実績データの自動集計
    ・エラーチェック機能の活用


小規模ステーションでも、基本のミスを押さえて、ダブルチェック体制をしっかり作れば、返戻はグッと減りますよ。請求業務は焦らず、確実に。私も最初は大変でしたが、今では安定しています!


レセプト業務効率化の秘訣:時間とコストを削減する方法


限られた人員で確実な請求を行うためのポイントを解説します。



効率化するためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

  1. 標準化:業務手順を標準化し、誰でも同じように作業できるようにすることで、作業効率を高めることができます。手順書を作成し、スタッフ間で共有しましょう。
  2. 簡素化:不要な手順を省き、作業をシンプルにすることで、時間短縮につながります。業務フローを定期的に見直し、改善点を洗い出しましょう。
  3. 自動化:繰り返し行う作業は、ITツールを活用して自動化することで、大幅な時間削減を実現できます。例えば、レセプト作成ソフトの自動計算機能を活用することで、手計算によるミスを防ぎ、作業時間を短縮することができます。





訪問看護ソフトを使いこなすだけでなく、PC操作のテクニックを身につけることで、レセプト業務をさらに効率化できます。これらのテクニックは、一見些細なことに思えるかもしれませんが、積み重ねることで大きな時間短縮につながります。

PC操作が苦手な方も、以下のポイントを参考に、積極的に活用してみましょう。

  • 画面分割機能の活用:実施記録とレセプト入力を並べて表示することで、転記ミスを防止し、確認作業にかかる時間を短縮できます。
  • ショートカットキーの設定:よく使う操作をショートカットキーに登録することで、マウス操作を減らし、入力スピードを向上させることができます。
  • 定型文の保存:頻繁に使用する文章やフレーズを定型文として保存しておけば、入力の手間を省くことができます。




小規模ステーションならではの強みを活かした効率的な体制づくりのコツを紹介します。


人員体制に合わせた柔軟な役割分担により、効率的な業務の流れを作ります。専任の事務職員の有無に関わらず、以下のような体制例を参考に、各ステーションの状況に合わせたアレンジをしましょう。

担当者日常的な業務効率化のポイント
訪問スタッフ・訪問記録作成
・サービス実施記録
・タブレット入力
・写真記録活用
・変更情報の即時共有
事務担当者・保険情報管理
・基本情報更新
・加算管理
・一括処理機能活用
・書類の一元管理
管理者・レセプト管理
・運営管理
・進捗状況の可視化
チーム全体・実績確認
・情報更新
・中間チェック

 


請求業務を確実に進めるための、少人数だからこそできる密なコミュニケーションを活かします。以下は具体的な取り組み例です。

  1. コミュニケーションの充実
  2. 週1回の短時間ミーティング
  3. 請求業務の進捗確認
  4. 問題点の早期共有
  5. ITツールの戦略的活用
  6. クラウド型ソフトでリアルタイム共有
  7. チャットツールでの素早い連絡
  8. サポート体制の整備
  9. 業務の代行体制づくり
  10. 経験者によるOJT実施
  11. バックアップ担当の明確化


少人数のメリットを活かした連携の仕組みを作ることで、私たちの事業所は請求業務の時間が半分になりました。小規模だからこそ、チームワークの良さを発揮できますよ!


まとめ


訪問看護のレセプト業務は、医療保険と介護保険の違いを理解し、適切な請求手順を踏むことが重要です。 統計データからは、一度返戻を経験した事業所では再発リスクが高まる傾向が見られますが、基本的な仕組みの理解とチェック体制の構築、効率的な役割分担を整えることで、着実に請求業務の精度を高めていくことができます。

システムの電子化が進んでも、訪問看護特有の複雑性は残ります。基本に忠実な業務遂行と、スタッフ間の確実な連携が、安定した運営の鍵となるでしょう。

レセプト業務は訪問看護の要。基本をしっかり押さえて、みなさんも返戻ゼロを目指しましょう!

 


 

えがおDE看護は”電子カルテ機能”と”レセプト請求機能”に特化して、26年現場の声や複雑な制度に対応し続けているので、訪問看護ステーション業務をお任せできます。

管理者の本来の使命であるステーション運営を通じた「良質な看護サービスの提供」 に当たり前に集中できる毎日を実現します。是非お問い合わせください。

最後までご覧くださりありがとうございました。

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