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訪問看護レセプトの心身の状態欄はこう書く!管理者必見の記入例と実践テクニック【2025年度版】

訪問看護レセプトの心身の状態欄はこう書く!管理者必見の記入例と実践テクニック【2025年度版】

公開:

2025年1月8日

更新:

2025年1月9日

「訪問看護レセプトの『心身の状態』、どう書けばいい?」
「返戻になるのは避けたい…」

レセプトの心身の状態欄に頭を悩ませている管理者の方は多いのではないでしょうか。
限られた時間でレセプト業務に十分な時間を割くのは至難の業です。なかでも心身の状態欄は、ほとんどの項目がコード化されている中で唯一の記述式。報酬請求の要となるだけに一筋縄ではいきません。何をどこまで書けばよいのか、不安を感じている方も多いはずです。

そこでこの記事では、小規模ステーションの管理者向けに、心身の状態欄の書き方のポイントをまとめました。現場で使える具体例や、ベテラン管理者のテクニックも満載です。

ぜひ最後まで読み進めて、明日からの業務に活かしてください。

レセプトの基本についてはこちらの記事をご覧ください。≫「【実務者必見】訪問看護レセプト業務の基本と対策|効率化と請求ミスゼロへ」

目次

 

医療保険の訪問看護レセプトにおいて、「心身の状態」欄は利用者の状態を具体的に伝える重要な項目です。適切なサービス提供と正確な報酬請求には、正しい書き方が不可欠です。まずは、押さえておきたい基礎知識から見ていきましょう。

 


(画像引用:R6千葉県国民健康保険団体連合会「訪問看護療養費請求事務の手引」

「心身の状態」欄(上の画像赤枠内)は、訪問看護療養費明細書における報酬請求の根拠となる重要項目です。利用者の状態を具体的に記録することで、適切な訪問看護計画とサービス提供の妥当性を示し、診療報酬の算定根拠となります。
適切な記載により、利用者中心のサービスであることを裏付けるだけでなく、人工呼吸器管理加算や在宅酸素療法管理加算、精神科訪問看護基本療養費などの算定が可能となるのです。


一方で、記載内容に不備があるとレセプトが返戻されてしまいます。すると、報酬支払いの遅延や再請求作業が発生するため、特に小規模ステーションでは資金繰りや業務効率に大きく影響する可能性があります。

 


  

心身の状態欄には、4つの必須記載項目があります。それぞれの項目の意図を理解し、漏れなく記載していきましょう。

  1. 利用者の状態について具体的に記述(ADL、認知機能、精神状態、医療処置、リハビリテーションなど)
  2. 基準告示第2の1に規定する疾病等(別表7・8)の有無
  3. 別表7・8、超重症児・準超重症児疾病コード(該当する場合)
  4. GAF尺度(精神科訪問看護基本療養費算定時)

 

記述欄には、利用者の状態がわかるように以下のような情報を記載します。

  • 日常生活動作(ADL):食事、入浴、排泄、更衣、移動など、日常生活の基本動作能力
  • 認知機能:記憶力、理解力、判断力、見当識など
  • 精神状態:気分、感情、意欲、思考など
  • 医療処置:医師の指示に基づく看護師の医療処置内容
  • リハビリテーション:理学療法、作業療法、言語聴覚療法など、その内容と効果
  • 社会参加や家族の支援状況など、利用者の生活状況を理解する上で必要な情報

訪問看護ソフトで記載の際の実用的なポイント

  • 各ソフトの文字数制限を事前に把握(全角/半角の区別にも注意)
  • 自動反映機能があっても、必ず内容を確認

 

別表7・8に該当するか否かを、使用する訪問看護ソフトの指示に従ってチェックまたはコードを入力します。
 

別表7・8、超重症児・準超重症児に該当する場合は、対応するコードを全て記載します。

心身の状態欄 別表7及び別表8 疾病等コード表
コード内容具体例・解説
別表7長期にわたり療養が必要な特定疾患の利用者に対して、適切な医学管理を行う場合
001末期の悪性腫瘍がん末期
002多発性硬化症
003重症筋無力症
004スモン
005筋萎縮性側索硬化症ALS
006脊髄小脳変性症
007ハンチントン病
008進行性筋ジストロフィー症
009パーキンソン病関連疾患進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上、生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のもの)
010多系統萎縮症線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群
011プリオン病
012亜急性硬化性全脳炎
013ライソゾーム病
014副腎白質ジストロフィー
015脊髄性筋萎縮症SMA
016球脊髄性筋萎縮症
017慢性炎症性脱髄性多発神経炎CIDP
018後天性免疫不全症候群AIDS
019頸髄損傷
020人工呼吸器を使用している状態の者
別表8在宅での療養を支援するために、専門的な指導や管理を行う場合
041在宅悪性腫瘍等患者指導管理がん化学療法、放射線療法、疼痛管理など
042在宅気管切開患者指導管理
043気管カニューレを使用している状態にある者
044留置カテーテルを使用している状態にある者
045在宅自己腹膜灌流指導管理
046在宅血液透析指導管理
047在宅酸素療法指導管理
048在宅中心静脈栄養法指導管理
049在宅成分栄養経管栄養法指導管理
050在宅自己導尿指導管理
051在宅人工呼吸指導管理
052在宅持続陽圧呼吸療法指導管理CPAP療法など
053在宅自己疼痛管理指導管理
054在宅肺高血圧症患者指導管理
055人工肛門又は人工膀胱を設置している状態にある者ストーマケア
056真皮を越える褥瘡の状態にある者褥瘡ケア(床ずれケア)
057在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している者
その他
091超重症児
092準超重症児

別表7・8について詳しくはこちらをご覧ください。≫「訪問看護における「別表7」を徹底解説:別表8との違いから計画・最新情報まで、管理者必見の知識と活用術‼」

 

精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)または(Ⅲ)を算定する場合、月の初日の訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値に対応するコードと判定した年月日を記載します。

※GAF尺度とは、機能の全体的評価尺度で、成人の社会的・職業的・心理的機能を評価する際に用いられている1〜100の数値スケールです。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。≫「GAF尺度って⁇精神科訪問看護に必要なGAF評価方法についてわかりやすく解説します」

 

精神科訪問看護におけるGAF尺度コード表
コードGAF尺度により判定した値具体例・解説
01100 – 91優れた機能レベル。症状がなく、社会生活・職業生活に支障がない。
0290 – 81軽度の症状、または一過性の問題があるものの、社会生活・職業生活に大きな支障はない。
0380 – 71一時的な社会的、職業的、または学業上の機能障害を引き起こす症状がある、もしくは、社会生活・職業生活のある側面で中等度の困難を抱えている。
0470 – 61社会生活・職業生活・学業の機能に何らかの支障がある。
0560 – 51中等度の症状(例:軽いパニック発作、演説恐怖)、もしくは、社会生活・職業生活・学業の機能に中等度の困難がある。
0650 – 41重度の症状(例:自殺念慮、重度の強迫儀式、仕事上の機能不全)、もしくは、社会生活・職業生活・学業の機能に重度の困難がある。
0740 – 31現実検討の障害、コミュニケーションの障害、または、ほとんどの社会生活上の領域における重度の機能障害(例:友人、家族との関係がない、衛生状態が悪い)がある。
0830 – 21行動または思考に大きな影響を与える幻覚や妄想などの症状がある。
0920 – 11自殺行動、重度の衝動性、または、自分や他人を傷つける可能性がある他動の危険性があるなどの、一過性の危険がある行動がある。
1010 – 1他人を傷つける可能性が非常に高い持続的な危険性がある行動がある。自殺の危険性が非常に高い。
110情報不十分、または、評価できない。
20家族への訪問看護でありGAF尺度による判定が行えなかった(当該月に利用者本人への訪問看護を行わなかった)利用者本人への訪問看護を実施していない場合に選択。

 


 

レセプトの返戻を防ぎ、スムーズな請求を実現するには、いくつかのコツがあります。ベテラン管理者の経験から得られた実践的なテクニックをご紹介します。

 

病名だけでなく、具体的な症状、状態、日常生活への影響を記載しましょう。

例えば、「認知症」ではなく、「アルツハイマー型認知症で記憶障害、見当識障害があり、日常生活に支障をきたしている」のように記載します。

 

ADL、IADL、社会参加の状況は、利用者の生活状況把握に重要です。食事や入浴等のADL、買い物や金銭管理等のIADL、地域活動への参加状況を具体的に記載しましょう。

 

返戻を防ぐため、以下の点に注意が必要です。

  • 主観的な意見や推測: 「〜と思われる」など、主観的な表現は用いない
  • 根拠のない情報: 伝聞や憶測など、根拠が不明確な情報は記載しない
  • 専門用語のみで分かりにくい表現: 専門用語を使用する場合は、わかりやすい言葉で医療従事者以外の人が読んでも理解できる表現を心がける。
    例)悪い例: 「COPDのためSOBが著明である。」
      良い例: 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)のため、息切れが強く見られる。」

 

 

具体的な症状別に「心身の状態」欄の記入例を紹介します。より実践的な書き方を学びましょう。

 


 

利用者: 80代女性

主な疾患: 心不全、高血圧、変形性膝関節症、糖尿病

記入例:

「息切れと下肢の疼痛のため、屋内での移動も困難で、歩行器を使用している。入浴、更衣、トイレへの移動は介助が必要である。1人で買い物に行くことはできず、調理も困難なため、週に3回、生活援助と服薬管理、健康状態の観察を行っている。 血糖値は安定しているが、塩分制限が必要なため、食事内容について指導を継続している。本人は現状を受け入れ、訪問看護に協力的。」

解説:

  • 各疾患による具体的な症状(息切れ、疼痛)と、日常生活への影響(移動困難、介助の必要性)を記述
  • ADL(日常生活動作)の状況(入浴、更衣、トイレ)と、IADL(手段的日常生活動作)(買い物、調理)の状況を具体的に記載
  • 提供している訪問看護サービスの内容(生活援助、服薬管理、健康状態の観察)を記載
  • 病状の経過観察(血糖値の安定)と、今後のケアの方向性(食事指導の継続)を示している
  • 利用者の精神状態(現状を受け入れ、協力的)にも触れている

 


 

利用者: 70代男性

主な疾患: アルツハイマー型認知症、胃癌術後(3ヶ月前)

記入例:

「体力低下と時間と場所の見当識障害、記憶障害がある。訪問日時や服薬時間はホワイトボードに記載し伝えている。調理はヘルパーが週3回対応、買い物は一人で可能。少量頻回摂取の食事指導をし、栄養状態を観察。興奮・混乱時は声かけで対応。鎮痛剤を服用しすぎることがあり、対応について工夫中。連携ノートを使用し、内服や入浴、食事の状況について訪問ヘルパーと密に連携をとっている。」

解説:

  • 術後体力低下、認知機能障害(見当識障害、記憶障害)の症状を簡潔に記載
  • 具体的な対応策(ホワイトボード、ヘルパー、食事指導、声かけ)を明記
  • 鎮痛剤服用過多、栄養状態、多職種連携(訪問ヘルパー)といった課題や取り組みを記述

 


 

利用者:50代男性 

主な疾患:統合失調症、高血圧症

記入例:

 「幻覚妄想は落ち着いているものの、無為自閉傾向が強く、自発的な外出は控えめ。ADLは自立しているが、物忘れがみられ、服薬管理が不十分なため、週3回訪問し確認。デイケアへの通所は継続できており、スタッフとの関係性も良好。生活リズムは概ね安定しているが、体重増加傾向にあり、運動や食事指導を実施。」

解説:

  •  症状(幻覚妄想、無為自閉)や生活への影響を具体的に記述 
  • ADLの自立度と支援が必要な部分を明記 
  • 社会参加状況(デイケア)や対人関係についても言及 
  • 生活習慣に関する課題と具体的な支援内容を記載 

 

 

工夫次第で作業時間は短縮できます。最初は手間がかかりそうですが、積み重ねれば大きな成果につながる、時間短縮と正確性の両立を実現するテクニックをご紹介します。

 


 

よく使う表現やフレーズは必要な要素を盛り込んだ定型文として登録しておき、必要に応じて呼び出すと、入力時間を短縮できるうえに記載の質を均一化できます。

たとえば、認知症の利用者の場合、以下のような定型フレーズを用意しておくと便利です。
「認知機能低下により(程度)、(具体的な症状)がみられ、(日常生活への影響)な状態。(対応方法)で対処し、(観察項目)を継続的に確認しています。」

作成のポイント

  • 症状や疾患別に、雛形を作成しておく
  • 基本となる文章に、個別の状況を追記できる形に
  • テンプレートは定期的に見直し、最新の情報に更新する

 

 


 

入力作業の効率を上げる機能が満載です。使い方次第で作業時間を大幅に短縮できます。

実践ポイント

  • 予測変換機能・ショートカットキーの活用
  • よく使う用語を登録
  • 過去記録の引用機能の利用
  • コピペ時は数値や日付を要確認
  • 新機能は逐一チェック

 

これらのテクニックを組み合わせることで、効率的に「心身の状態」欄を記載することができます。それぞれの事業所の状況に合わせて、最適な方法を取り入れ、正確な情報を安全に記録しましょう。

 

 

「心身の状態」欄は、訪問看護レセプトの中でも注意が必要な項目です。利用者の具体的な状態を正確に記載し、別表7・8の該当コードやGAF尺度を適切に記入することで、確実な請求が可能です。
症状は具体的に記述し、ADLやIADLの状況も含めることで、サービス提供の根拠を明確にできます。定型文やテンプレートを活用しながら、個別性も担保した記載を心がけましょう。

明日からの業務で、この記事で学んだポイントを実践して、レセプト業務の効率化と質の向上を目指してください。

 


 

 

えがおDE看護は”電子カルテ機能”と”レセプト請求機能”に特化して、26年現場の声や複雑な制度に対応し続けているので、訪問看護ステーション業務をお任せできます。

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最後までご覧くださりありがとうございました。

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