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訪問看護組織力UPの鍵!サービス提供体制加算を完全攻略&計算シートで簡単チェック

訪問看護組織力UPの鍵!サービス提供体制加算を完全攻略&計算シートで簡単チェック

公開:

2025年2月26日

更新:

2025年3月8日

「訪問看護のサービス提供体制強化加算、小規模ステーションには無理?」
「算定でどれくらい報酬UPするの?」

そんな疑問を抱えていませんか?

この記事では、小規模訪問看護ステーションの管理者向けに、サービス提供体制強化加算の算定要件から具体的な計算方法、届出手続きまで、わかりやすく解説します。

ぜひ最後まで読んで、自ステーションが算定可能かどうかの判断、必要な準備、報酬アップのイメージを明確にし、ステーションの経営をさらに安定させましょう!

目次

訪問看護サービス提供体制強化加算とは?


質の高い訪問看護を評価するサービス提供体制強化加算。小規模ステーションでも、算定要件を理解すれば経営改善につながります。ここでは、加算の概要と算定要件を解説します。



サービス提供体制強化加算は、介護保険法に基づき、利用者へのサービス質向上を目的とする加算で、支給限度基準額には含まれません。

評価指標は、看護師等の職員の勤続年数や研修実施状況などで、(Ⅰ)(Ⅱ)の2種類があります。訪問看護ステーションにおいては、35%ほどの事業所が算定しています。
(参考:R5年厚生労働省「訪問看護」p.8

訪問看護事業所における単位数は以下のとおりです。

提供内容(I)の単位数(II)単位数
通常の訪問看護6単位/回3単位/回
定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所との連携50単位/月25単位/月
※介護予防(要支援者)の場合、(Ⅰ)が6単位/回、(Ⅱ)が3単位/回


例えば、地域単価11.40円の地域で利用者40名のステーションがサービス提供体制強化加算(Ⅰ)を算定し、1人あたり月8回の訪問看護を実施した場合、1ヶ月あたりの加算による収益は、6単位/回 × 11.40円/単位 × 8回/月 × 40名 = 21,888円となります。

加算収益は多くないと感じるかもしれませんが、加算を組み合わせ積み重ねることでステーション全体の収益向上につながります。



サービス提供体制強化加算の算定要件は以下のとおりです。

(Ⅰ)(Ⅱ)の違いは勤続年数のみです。

  1. 勤続年数:
    • (Ⅰ):勤続年数3年以上の職員を30%以上配置
    • (Ⅱ):勤続年数7年以上の職員を30%以上配置
  2. 研修計画:看護師等ごとに個別の研修計画を作成し、研修(外部における研修を含む) を実施または実施予定
  3. 定期的な会議:利用者情報や留意事項の伝達、技術指導を目的とした会議をおおむね月1回以上開催
  4. 健康診断:すべての看護師等に年1回以上実施




小規模ステーションでは、勤続年数の要件がネックになる場合も。

しかし、長年地域に根ざし運営してきたステーションでは、規模が小さくても長く勤務する職員が多いことも珍しくありません。

まずはステーションの状況を確認してみましょう。

サービス提供体制強化加算の勤続年数の計算方法と確実な算定の準備


サービス提供体制強化加算を算定するために必要な準備と注意点を、算定可否の判断から日々の運営まで、小規模ステーションならではの視点で解説します。



算定要件となる勤続年数の計算方法を解説します。


対象となる「看護師等」とは以下の職種です。

  • 看護師
  • 保健師
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士



計算は次のAからCの手順で行います。(詳細はぜひ計算シートをダウンロード・コピーしてご活用ください)。

サービス提供体制強化加算 勤続年数 らくらく自動計算シート【無料ダウンロード】


  1. 看護師等の総数(常勤換算数)を算出: 暦月ごとの勤務延時間数を、常勤職員の勤務すべき時間数で割り、その数を前年度4月~2月の11ヵ月で平均する(小数点第2位以下切り捨て)
  2. 勤続年数3年or7年以上の職員数(常勤換算数)を算出: 暦月ごとの該当職員の勤務延時間数を、常勤職員の勤務すべき時間数で割り、その数を前年度4月~2月の11ヵ月で平均する(小数点第2位以下切り捨て)
  3. 割合を計算:B ÷ A × 100
    1. 勤続年数7年以上の職員割合:30%以上でサービス提供体制強化加算(Ⅰ)の人材要件を満たす
    2. 勤続年数3年以上の職員割合:30%以上でサービス提供体制強化加算(Ⅱ)の人材要件を満たす

(参考:中央法規出版「訪問看護お悩み相談室 令和5年」版)

  • 勤続年数は各月の前月末日時点。同一法人等が経営する他の事業所等での勤務年数も合算可能
  • 非常勤職員も勤務時間や雇用形態に関わらず、勤務年数として算入可能(有給休暇取得日は除く)
  • 原則として前年度(3月を除く)で計算
  • 事業開始後6ヶ月以内の事業所は、前3か月の実績で算出(この場合3月を含む)

計算例勤続年数3年以上の職員割合を計算してみましょう

事業所の常勤職員が勤務すべき時間数が160時間/月の場合、

  1. 前年4月の看護師等の勤務延時間数の合計が1600時間だったので、常勤換算職員数は、1600 ÷ 160 =10人。5月から2月までの常勤換算数も求め、11ヵ月の平均は9.5人。
  2. 前年4月の勤続3年以上の看護師等の勤務延時間数の合計が480時間だったので、常勤換算職員数は、480 ÷ 160 = 3人。5月から2月までの勤続年数3年以上の職員の常勤換算数も求め、11ヵ月の平均は3.2人。
  3. 3.2 ÷ 9.5 × 100 =33%
    → この場合勤続年数3年以上の職員割合は33%となり、サービス提供体制強化加算(Ⅱ)の人材要件を満たします。



個別の研修計画の作成と実施


個別の研修計画の作成と実施


質の高いサービス提供の土台となるのは、職員一人ひとりのスキルです。サービス提供体制強化加算の算定要件にもなっている研修計画の作成と実施について、ポイントを押さえていきましょう。

研修計画のポイント

  • 職員ごとの研修目標設定
    • 各職員の経験、スキル、キャリアプランに合わせて、具体的な研修目標を設定
    • 目標達成に必要な研修内容、実施時期、方法などを個別に計画
  • 外部研修の積極的活用と情報共有
    • 外部研修(オンライン研修、近隣施設での研修など)を積極的に活用
    • 研修参加者が得た知識や技術をステーション内で共有する仕組みを作り、全体のレベルアップを図る
    • 都道府県看護協会の研修割引制度や、eラーニングを活用することで費用を抑制
  • OJTとOFF-JTの組み合わせ
    • 日々の業務を通じたOJT(現場での実地指導)と、集合研修やeラーニングなどのOFF-JTを組み合わせ、効果的な研修を実施
    • OJTでは、チェックリストを活用し、指導内容を標準化
  • 研修記録と振り返り
    • 研修の実施記録、参加者の意見、効果測定の結果を記録し保管、定期的に振り返る
    • 記録を活用し、次年度の研修計画や個別の目標設定に活用




利用者情報やサービス提供の留意事項を共有するため、おおむね月1回以上の定期会議を開催しましょう。小規模ステーションだからこそ、密な情報共有とチームワークが重要です。

また、会議の記録は算定要件にも含まれるため、必ず議事録を作成し保管しましょう。

会議開催のポイント

  • 短時間集中:30分〜1時間程度で、事前に議題を共有
  • 情報共有と意見交換:利用者情報、サービス状況、留意事項を共有し、課題解決に繋げる
  • 効率的な情報共有:クラウドで資料・議事録を共有。情報共有ツールも活用
  • 個人情報保護:法令・ガイドラインを遵守し、情報管理を徹底




職員が健康に業務を遂行できるよう、年1回の健康診断を実施しましょう。小規模ステーションだからこそ、職員一人ひとりの健康管理が大切です。

健康診断実施のポイント

  • 受診しやすい環境づくり
    • 地域の医療機関と連携し、受診しやすい体制を整える
    • 費用補助を検討(法令で定められた定期健康診断は事業主負担が原則)
  • 受診勧奨と個別フォロー
    • 未受診者へ個別に声かけ
    • 健診結果に基づき、必要な措置(再検査、保健指導など)を講じ、職員の健康管理をサポート
  • 感染症対策
    • 必要な予防接種を推奨
    • 感染症発生時の対応マニュアルを作成


サービス提供体制強化加算の届出


サービス提供体制強化加算を算定するには、所定の手続きと届出が必要です。



届出先は、事業所所在地の都道府県または市区町村の介護保険担当窓口です。提出期限は、算定開始月の前月15日です。



必要書類は自治体によって異なるため、事前に確認しましょう。

  • サービス提供体制強化加算に関する届出書
  • 体制等状況確認表(加算の算定要件を満たしていることを示す書類)
  • その他:研修計画、研修実績、勤務体制一覧 など


届出受理後も、算定要件を満たし続けることが重要です。

以下は届出用紙の例です。

届出用紙の例
(引用:札幌市「加算(減算)の届出【居宅サービス】


サービス提供体制強化加算 Q&A


小規模ステーションの管理者から寄せられる、算定に関する疑問をQ&A形式でまとめました。



はい。「看護師等」には、PT/OT/STも含まれます。これらの専門職が訪問看護に積極的に参加することで、利用者のADLやQOL維持向上に貢献し、質の高いサービス提供につながると評価されます。



職員が長く働き続けられるような職場環境づくりに取り組み、地域に貢献しているステーションの事例を紹介します。

  • ワーク・ライフ・バランスの推進とキャリアパスの明確化
    • 短時間正職員制度やフレックスタイム制を導入し、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を支援
    • 将来のキャリアパスを明確に示すことで、長期的な目標を持って働けるようにサポート
  • スキルアップと貢献実感の醸成
    • 認定看護師や専門看護師の資格取得支援、研修参加費補助に加え、地域での勉強会講師や後輩育成の機会を提供
    • スキルアップと同時に、地域や後輩への貢献を実感できる仕組みを構築
  • チームワークと心理的安全性の確保
    • 定期的な親睦会を開催し、職員間のコミュニケーションを促進
    • 上司や同僚との相談しやすい雰囲気づくりを心がけ、風通しの良い職場環境を実現


これらの事例を参考に、職員の成長をサポートしながら、組織への愛着と地域への貢献意欲を高めるような職場環境づくりを目指しましょう。

人材定着についてはこちらの記事もご覧ください。
≫訪問看護師がすぐ辞める理由と対策 – 管理者のための人材定着ガイド


まとめ:小規模訪問看護ステーションこそ、サービス提供体制強化加算を有効活用しよう

この記事では、小規模訪問看護ステーションがサービス提供体制強化加算を算定するために必要な情報を、具体的かつ実践的に解説してきました。

小規模ステーションだからこそ実現できる、きめ細やかなケアと温かい連携。その強みを活かしながら、加算取得によって経営基盤を強化することで、地域になくてはならない存在となることができます。
この記事を参考に、ぜひ加算算定の一歩を踏み出してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

≫関連記事:【知らないと減算⁈】訪問看護の2024年介護報酬改定|リハビリの変更点など徹底的に読み解きます!

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