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中~小規模でも機能強化型訪問看護ステーションになれる⁈|取得要件から未来戦略まで【2024年度改定対応版】

中~小規模でも機能強化型訪問看護ステーションになれる⁈|取得要件から未来戦略まで【2024年度改定対応版】

公開:

2024年10月31日

更新:

2024年10月31日

「中~小規模ステーションでも機能強化型は目指せるのか?」
「そもそも機能強化型を目指すべき?」

訪問看護ステーションの管理者なら、誰もが一度は考えたことのある悩みではないでしょうか。

この記事では、中~小規模ステーションの視点から機能強化型について徹底解説します。

この記事を読むことで、以下のことを理解できます。

  • 機能強化型1、2、3の違いと、各タイプの最新算定要件
  • 中~小規模ステーションならではの戦略的アプローチ方法
  • 機能強化型を目指す場合と目指さない場合、それぞれの具体的な成功戦略

 

機能強化型について理解を深め、小規模だからこそできる強みを活かしながら、あなたのステーションに最適な未来戦略を見つけていきましょう。

目次

機能強化型訪問看護ステーションとは?


地域で暮らす療養者を支える訪問看護。その中でも、より充実した体制を整え、手厚いケアを提供できる事業所を「機能強化型訪問看護ステーション」として、高く評価する仕組みが設けられています。




地域の在宅医療の質を高め、より充実した療養生活を支えるため、24時間対応やターミナルケアといった高度な支援体制を備えた訪問看護ステーションを評価・推進する制度です。
以下のような役割を担うことが期待されています。

  • 重症度の高い患者の在宅療養支援体制の確保
  • 地域全体の訪問看護サービスの質の底上げ
  • 医療機関との連携強化による切れ目のない在宅医療の提供






各類型の報酬と算定要件を表にまとめると、以下のようになります。

≫関連記事:「【丸わかり】新区分・訪問看護管理療養費1と2の違いや届出のポイントを徹底解説|2024改定版」

要件ターミナルケアや重症児の受け入れなどを積極的に行う手厚い体制を評価地域の訪問看護の人材育成等の役割を評価機能強化型以外
機能強化型1機能強化型2機能強化型3
月初日の訪問13,230円/月10,030円/月8,700円/月7,670円/月
月2回目以降の訪問1) 3,000円/日:同一建物訪問7割未満、別表7疾患4人以上または GAF尺度40以下5人以上
2) 2,500円/日:同一建物訪問7割以上、または7割未満で上記を満たさない場合
常勤看護職員の数(サテライトの職員含む)7人以上
(うち6人は常勤のみ)
5人以上
(うち4人は常勤のみ)
4人以上
ただし、同敷地内に訪問看護と開設者が同じ療養通所、児童発達支援事業所、放課後デイサービス事業所が設置されている場合は、常勤換算1名までをステーションの職員数に含めてよい
看護師等の割合6割以上(保健師・看護師・助産師・准看護師)
24時間対応体制加算の届出届出+休日祝日等も含めた計画的訪問の実施届出+休日祝日含む計画的訪問の実施
同一地域の医療機関の看護師による対応可
重症度の高い利用者の受入月10人以上
(別表7)
月7人以上
(別表7)
月10人以上
(別表7・8、精神科重症患者、複数の訪問看護ステーションが共同している利用者も含む)
いずれかを満たすこと
(1)ターミナルケア件数
(2)ターミナルケア件数、かつ、超重症児、準超重症児の利用者数
(3)超重症児、準超重症児の利用者数

(1)20件以上/前年度
(2)15件以上/前年度+常時4人以上


(3)常時6人以上

(1)15件以上/前年度
(2)10件以上/前年度+常時3人以上

(3)常時5人以上
居宅介護支援事業所、特定相談支援事業所または障害児相談支援事業所を同一敷地内に設置(計画作成が必要な利用者の1割程度の計画を作成)
地域における人材育成直近1年間に、人材育成のための研修等を実施(看護学生への講義・実習受入・地域の医療従事者に向けた研修等、在宅医療の推進に資するもの)直近1年間に医療機関や他の訪問看護ステーションを対象とした研修2回以上実施
地域の保険医療機関等への情報提供・相談直近1年間に、地域の医療機関、訪問看護ステーションまたは住民等に対して、訪問看護に関する情報提供または相談に応じている実績があること
医療機関との共同直近3カ月に地域の医療機関以外の医療機関との退院時共同指導の実績必要
専門の研修を受けた看護師の配置必須
+地域の医療機関での研修等実施しが望ましい
配置が望ましい。
+地域の医療機関等での研修等実施しが望ましい



精神科重症患者支援管理連携加算を算定する利用者のことをいいます。

主な算定要件は以下です。

  • 「精神科在宅患者支援管理料2」を算定している方(GAF尺度による判定が40以下など)
  • 週2回以上の訪問看護
  • 主治医の精神科医療機関とのカンファレンス など


機能強化型3では、1と2とは違い、このような精神科重症患者と別表8の患者、複数の訪問看護ステーションで共同して訪問看護を提供する利用者の受け入れも、重症度の高い利用者としてカウントできる点が特徴です。小規模ステーションが機能強化型を目指す際の、重要な選択肢の一つとなります。


≫関連記事:「GAF尺度って⁇精神科訪問看護に必要なGAF評価方法についてわかりやすく解説します」
≫関連記事:「訪問看護における「別表7」を徹底解説:別表8との違いから計画・最新情報まで、管理者必見の知識と活用術‼」

機能強化型訪問看護ステーションへの現状と課題






機能強化型訪問看護ステーションの普及状況について、令和3年7月時点の最新のデータから分析してみましょう。

機能強化型ステーションの普及状況
(引用:R5厚生労働省「訪問看護 参考資料」p.26



全国12,646の訪問看護ステーションのうち、機能強化型の届出を行っているのはわずか792事業所(約6.3%)。その内訳は以下のとおりです。

  • 機能強化型1:400事業所
  • 機能強化型2:280事業所
  • 機能強化型3:112事業所


興味深いのは、都市部と地方での普及状況の違いです。東京都、神奈川県、大阪府などの都市部に届出が集中している一方で、地方ではまだまだこれからという状況が浮かび上がってきます。




現場の声から見えてきた主な課題を、実態調査のデータに基づいて見ていきましょう。


「看護職員数が少ないから」と答えた事業所が48.6%と最多です。

・必要な常勤換算職員数を確保できない
・特に専門研修を受けた看護師の採用が困難
・地方での人材採用はさらにハードルが高い




46.2%の事業所が「24時間対応体制が確保できないから」と回答しています。

・中~小規模事業所では夜間・休日のオンコール体制維持が困難
・緊急時対応のための体制整備コストが高い
・常勤職員の負担増加への懸念
・スタッフの働き方改革との両立の難しさ




「看取りの件数が少ない」(40.7%)、「ターミナルケア療養費・加算の算定件数が少ない」(22.6%)という回答から、重症患者の受け入れに関する課題も明らかです。

・重症度の高い利用者の安定的な確保が困難
・特に在宅医不測の地域では、ターミナルケアの実績づくりに苦慮
・医療機関からの紹介体制の構築に時間を要する
・重症患者に対応できる技術と体制の整備が必要


(出典:H27厚生労働省「「機能強化型訪問看護ステーションの実態と訪問看護の実施状況調査」における報告書(案) の概要 p.14)




しかし、これらのハードルを一つひとつ克服し、機能強化型3の取得に成功している事業所も着実に増えています。

共通するのは、「地域でいま、何が求められているのか」を見極め、自分たちの強みを活かした段階的なアプローチを実践している点です。特に重要なのは、まずは機能強化型3を目指し着実に一歩ずつ実績を重ねていく戦略です。

では、具体的にどのような取り組みが効果的なのか、その実践的な方策について詳しく解説していきます。

中~小規模ステーションが機能強化型3を目指すメリットと戦略



機能強化型3は、中〜小規模ステーションにとって、最も現実的な第一歩となります。その理由は、基準を満たすためのハードルが比較的低く、かつ地域の訪問看護の質を高める重要な役割を果たせる点にあります。
では、なぜ機能強化型3なのか? そして、どのような手順で取得を目指せばよいのか。具体的なメリットと実践的な取り組み方を見ていきましょう。





機能強化型3の訪問看護管理療養費は8,700円です。機能強化型以外(7,670円)と比べると約13%の増収となり、この収入増が事業所の体制強化を後押しします。
具体的には、以下のような前向きな投資が可能になります。

・看護師の処遇改善
・教育研修費用の確保
・ICT化による業務効率化の推進




機能強化型3の取得は、単なる収益アップにとどまらず、地域の在宅医療の発展に貢献できるチャンスとなります。

実際に以下のような好循環が期待できます。

・地域における訪問看護文化の定着推進
・次世代の訪問看護師育成の基盤づくり
・地域の医療・介護関係者との連携強化






機能強化型3の取得に向けては、計画的なステップアップが欠かせません。現場の実情に合わせた無理のない取り組みを積み重ねることで、着実な目標達成が可能となります。


小規模ステーションの強みを活かしつつ、確実に体制を整えていくことが重要です。
まずは以下の順序での整備がポイントとなります。

  1. 体制整備の優先順位
    • まずは常勤換算5人の確保に注力
    • 30歳前後の若手看護師の採用・育成
    • 地域特性に応じた24時間対応体制の構築
  2. 人員体制の充実による運営基盤強化
    • より安定的な24時間対応体制の実現
    • 多様な人材確保による柔軟なシフト編成
    • 教育体制の充実による人材育成の強化




地域特性を見極め、そのニーズに応える形での展開が不可欠です。以下のような取り組みを、地域の実情に合わせて進めていきます。

・地域の診療所との連携強化(特に訪問診療医が少ない地域では重要)
・医療機関や居宅介護支援事業所への制度周知活動
・地域の他の訪問看護ステーションとの健全な競争と協力関係の構築


機能強化型3は、決して「1」や「2」への通過点ではありません。地域に根ざした訪問看護の質を高め、在宅療養の選択肢を増やすという明確な目的を持った戦略的な選択肢として位置づけることが重要です。

機能強化型ステーションを目指さない選択:地域密着型アプローチで信頼を獲得



「機能強化型を目指すべきか」という悩みは、中~小規模ステーションの管理者なら誰もが直面する課題です。

常勤換算4人以上の人材確保、重症患者の受け入れ、外部対象の研修2回…要件を見るたびに現実との格差に胸が痛みます。地域にもっと貢献したい、スタッフの待遇も改善したい、その思いは強くても現実は難しい…そんな悩みを抱えている管理者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、機能強化型を目指すことだけが、地域に貢献する道ではありません。むしろ小規模だからこそできる、きめ細やかなケアと、スタッフ一人一人の個性を活かした運営で、地域に必要とされるステーションを作ることもできるのです。




小規模ステーションならではの強みを最大限に活かすことで、独自の価値を生み出すことができます。

・きめ細やかなサービス: 少人数だからこそ可能な、個別ニーズへの柔軟な対応を強みとする
・スタッフ間の密な情報共有: 毎朝15分のカンファレンスで全利用者の状況を共有
・価値観の一致したケア: 理念や方針を深く共有し、一貫性のある看護を提供
・顔の見える関係づくり: 管理者自身が現場に出て、利用者や家族との信頼関係を構築






限られた人員体制でも、地域との連携を工夫することで充実したケアが可能です。

無理のない体制構築: 管理者+副管理者の2名での基本対応体制
予防的アプローチ: 状態不安定者への夕方訪問、家族への観察指導の徹底
・地域連携の活用: 近隣ステーションや在宅療養支援診療所との協力体制
・効率的な電話対応: 状況確認の手順化、電話でのケア指導の充実






規模が小さいことを強みに変え、スピーディーな意思決定と行動力で質の高いケアを実現できます。

特定分野での専門知識獲得: 小児看護、精神看護など、各スタッフの強みを活かした分野特化
・低コストでの継続的な学習: オンライン研修やウェビナー、地域の勉強会の活用
・多職種連携の強化: 地域の医療機関や介護施設との協力関係構築
・業務プロセスの最適化: 小規模だからこそ可能な、柔軟な業務改善
・無料・低コストのICTツール活用: ビジネスチャットやクラウドサービスの活用
・適切な人員配置: 各スタッフの強みを活かした効率的な配置
・低コストの地域活動: 既存イベントへの参加や公民館での健康講座開催


小規模ステーションの強みは、地域に根ざしたきめ細やかなケアの提供にあります。大規模化や機能強化型を目指さなくとも、これらの現実的で低コストな戦略を活用することで、地域に不可欠な存在として持続可能な経営を実現できます。

(参考:R6年全国訪問看護事業協会による「2040年を見据えた訪問看護のあり方に 関する提案」

機能強化型訪問看護ステーションの届出方法と必要書類



機能強化型訪問看護ステーションの届出には、いくつかの重要なポイントがあります。特に変更届出の要否や経過措置については、理解しておきましょう。

  1. 基本的な届出事項
    • 毎年8月1日現在の加算等の届出状況について地方厚生局へ報告
    • 届出様式は厚生労働省のウェブサイトからダウンロード可能(下の画像参照)
  2. 変更届出が不要なケース
    • 常勤看護職員数の基準を満たしている期間中の非常勤職員数や実労働時間の変更
    • 看護師等の職員割合基準について、暦月3か月以内の1割以内の一時的な変動
    • 超重症児および準超重症児の利用者数の、暦月3か月以内における1名以内の一時的な変動
  3. 経過措置について
    • 機能強化型1における「専門の研修を受けた看護師の配置」の要件について、令和6年3月31日時点で機能強化型1の届出を行っている事業所は、令和8年5月31日までは基準に該当するものとみなされる
  4. 留意点
    • 超重症児および準超重症児の判定には、スコア10以上を基準として採用
    • 同一敷地内の療養通所介護事業所等の職員は、常勤職員1名または常勤換算1名を職員数に含めることが可能



(機能強化型ステーション届出様式)

まとめ:訪問看護ステーションの未来戦略-機能強化型とその先へ

機能強化型訪問看護ステーションの取得は、小規模ステーションにとって大きな転換点となります。
機能強化型を目指すにせよ、地域密着型の道を選ぶにせよ、大切なのは地域のニーズに応える質の高いケアの提供です。

まずは自施設の強みと地域の実情を見つめ直し、あなたのステーションに合った未来への一歩を踏み出してみましょう。

 


 

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最後までご覧くださりありがとうございました。

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