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【事例から学ぶ】訪問看護ステーション立ち上げで失敗しないための完全ガイド

【事例から学ぶ】訪問看護ステーション立ち上げで失敗しないための完全ガイド

公開:

2024年12月11日

更新:

2024年12月11日
【事例から学ぶ】訪問看護ステーション立ち上げで失敗しないための完全ガイド

「資金計画は大丈夫かな…」

「人材は確保できる?」

「地域の医療機関との連携は築けるだろうか」

 

訪問看護ステーション開設に向けて、期待と同時に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。経験豊富な看護師であっても、開業は未知の領域です。準備不足や予期せぬ問題で、開設後1年以内に撤退を余儀なくされるケースも少なくありません。

 

この記事では、訪問看護ステーション立ち上げで失敗しないための具体的な方法を解説します。

 

特に、立ち上げ時の失敗パターン、需要と供給のミスマッチ、運営リスクと対策、危機管理体制について、小規模ステーションならではの視点を取り入れながら詳しく解説していきます。

 

この記事でわかること

  • 開業前にありがちな失敗とその対策
  • 運営開始後に直面する課題への対応策
  • 地域に根ざした持続可能な運営のためのポイント

 

明日から使える実践的な内容が満載です。ぜひ最後まで読んで、成功への道を切り開きましょう。

 

目次

訪問看護ステーション立ち上げ時によくある失敗3選と対策


厚生労働省の調査によると、開設から2年以内に約15%の訪問看護ステーションが廃業しています。限られたリソースで運営を行う小規模ステーションにとって、致命的な失敗は避けなければなりません。

立ち上げ時に特に注意すべき3つの失敗パターンと、その具体的な対策を紹介します。



開業資金の不足は、事業継続を困難にします。自己資金は、最低でも開業資金全体の20%を確保しましょう。

具体的な対策には以下が挙げられます。

・事業計画書の作成 :収支計画や資金繰り計画など、具体的な数値に基づいた計画を立てましょう。融資審査の際にも重要な判断材料となります。
・融資制度の活用 :日本政策金融公庫や信用保証協会の制度を上手に活用すれば、資金調達の幅が広がります。
・助成金の確認:都道府県や市町村が提供する開業支援制度を活用し、初期費用の負担を軽減しましょう。




看護師の採用と育成は、サービス提供の質を左右します。特に新規開設の場合、以下の点に注意が必要です。

【人材確保のポイント】
・常勤換算2.5人以上の看護職員が必要
・24時間対応体制の構築が必要
・地域によって人材確保が難しい状況も


【具体的な対策】
1. 採用活動は開設6ヶ月前から開始
2. 複数の採用チャネルを併用 (求人サイト、ハローワーク、看護協会、SNSなど)
3. 働きやすい職場環境と充実した福利厚生の整備


なお、申請手続きの遅延も開設時期に影響を与えます。開設予定の4~6ヶ月前から準備開始し、自治体ごとのローカルルールの確認、必要書類の完全な準備を心がけましょう。

立ち上げ準備については、「【完全ガイド】訪問看護ステーション立ち上げ計画:成功するための心構えと準備」で詳しく解説しています。



地域のニーズと市場状況を適切に把握せずに開設すると、利用者の獲得に苦労します。以下の項目を事前に調査しましょう。

  • 高齢者人口と将来推計
  • 競合する事業所の数と特徴
  • 地域の医療機関との連携可能性


失敗例から学ぶ!3つの失敗ストーリー


過去の失敗事例から、具体的な教訓を学びましょう。



ベテラン看護師が開設したものの、経営と現場の線引きができず、すべてを抱え込んでしまい、1年で撤退。組織運営の知識とスキル不足が原因でした。



Bステーションは、開設から半年で黒字化を達成。順調に利用者数を伸ばし、売上も右肩上がりでした。しかし、請求から入金までのタイムラグを考慮していなかったため、突如として資金繰りに行き詰まってしまいました。

訪問看護の請求は入金まで最大2ヶ月かかるため、資金繰りが重要です。人件費や経費は毎月支払う必要があるため、売上が増えるほどに資金繰りが厳しくなっていったのです。売掛金が1,000万円を超える状況でも、給与支払いができず、成長が裏目に出てしまいました。



800万円の資金で開設し、滑り出しは順調に見えましたが、インフルエンザによるスタッフの同時休職、クレーム対応、資金不足など、予期せぬ事態が重なり、経営が急速に悪化していきました。原因は、安易な資金計画と危機管理体制の不備でした。

これらの事例から、開業前の準備が何より大切だとわかります。外部の専門家に相談し、客観的な視点から事業計画を見直すことで、多くのリスクを回避できます。

訪問看護ステーション立ち上げで起こりやすい需要と供給のミスマッチ


訪問看護の需要は増加傾向にありますが、地域特性を理解し、適切なサービスを提供することが重要です。



都市部では、一定地域内に複数の訪問看護ステーションが存在するのが一般的です。高齢化で需要は確実に増加傾向にあるものの、競合の多い地域では新規利用者の獲得に苦戦するケースが目立ちます。

特に、病院やクリニックとの連携が確立していない新規開設のステーションは、医療保険の利用者獲得が難しい状況に直面しやすいです。既存の事業所との差別化を図らないまま参入すると、厳しい経営状況に追い込まれかねません。


地域によって、求められる訪問看護サービスは大きく異なります。例えば、大規模な精神科病院があれば精神科の訪問看護のニーズが高く、郊外では医療処置の継続や介護力不足に対応するニーズが高い傾向があります。

地域の医療機関や介護事業所が提供していないサービスを見極め、そのニーズに応えることが重要です。



市場調査だけでなく、地域の医療・介護の実情を深く理解することが求められます。


従来の市場分析に加え、以下の視点からの調査が効果的です。

  • 医療法人・施設の訪問看護併設率
  • 在宅療養支援診療所の活動状況
  • 地域の救急医療体制
  • 病院の在宅移行支援の取り組み
  • 介護支援専門員の在宅療養に対する考え方
  • 家族介護者の就労状況


これらのデータは、市区町村の介護保険事業計画や地域医療構想などから入手できます。


単なるサービスの差別化ではなく、地域の課題解決という視点が重要です。

  • 地域の医療資源の不足を補完するサービス
  • 介護職との連携による生活支援の充実
  • 医療依存度の高い利用者の受け入れ
  • 独居高齢者の在宅生活支援


訪問看護ステーション立ち上げ後の運営リスクと対策


開設後の運営には、様々な課題が潜んでいます。サービスの質を維持し、安定した経営を実現するためのポイントを解説します。



質の高い訪問看護サービスの提供と、利用者満足度の向上は事業継続の生命線です。以下の3つの観点から、具体的な対策をご説明します。

【クレーム対応の仕組み作り】

初期対応の遅れが事業所の評判を大きく損ね損ねかねません。以下の対応手順を整備しましょう。

  • 初期対応マニュアルの作成
  • 管理者への迅速な報告
  • 再発防止に向けた事例検討会


【職員教育体制の構築】

新人からベテランまで、継続的な学習機会の提供が重要です。

  • 経験に応じた教育プラン
  • 外部研修への参加支援
  • ケースカンファレンスの定期開催


【サービス標準化の方法】

個々の看護師の力量に依存しない、一定水準のケアを提供できる体制を整えます。

  • 看護手順の文書化
  • アセスメントツールの統一
  • 記録様式の標準化




人材の定着と育成は、小規模ステーションにとって最大の課題の一つです。以下の観点から、具体的な対策を講じる必要があります。

課題具体的な対策期待される効果
離職防止・柔軟なシフト調整
・有給休暇取得の推進
・育児・介護との両立支援
・ワークライフバランスの実現
・職場定着率の向上
・採用コストの削減
モチベーション維持・目標管理制度の導入
・定期的な個人面談
・スキルアップ支援
・成功事例の共有
・自己実現の機会提供
・キャリアパスの明確化
・組織への帰属意識向上
チーム連携・毎日のミーティング実施
・電子カルテの活用
・定期的なチームビルディング
・情報共有の円滑化
・チーム力の向上


訪問看護ステーション経営の軌道修正:収支バランスと業務効率化


開設当初の計画通りに進んでいない場合でも、適切な軌道修正で経営を立て直すことは可能です。



「収入が予想を下回る」「支出が想定以上」――。このような課題を抱える事業所は少なくありません。まずは現状を正確に把握することから始めましょう。


経営を圧迫する最大の要因は、支出の管理不足です。以下に、効果的なコスト管理のポイントをまとめました。

  • 人件費の適正化
    • シフト調整による時間外労働の削減
    • 効率的な訪問ルートの設定
    • パート職員の活用検討
  • 経費削減の工夫
    • 消耗品の在庫管理徹底
    • 車両費・通信費の見直し



収益改善には、適切な加算算定と新規利用者の獲得のための営業が欠かせません。以下の施策を実践し、着実な売上向上を目指しましょう。

  • 加算算定の見直し
  • 新規利用者獲得の工夫 (医療機関への訪問、ケアマネジャーとの連携強化)


新規利用者の獲得方法については、「【選ばれる秘訣】訪問看護の営業で利用者を増やす!依頼が途切れないコツを徹底解説」で詳しく解説しています。



限られた人員で最大の効果を上げるため、業務の無駄を省き、効率化を図ります。


適切なICTツールの導入は、業務効率を大きく向上させます。以下に、効果的な活用方法を示します。

  1. スケジュール管理
  2. 急な変更への柔軟な対応
  3. スタッフ間での予定共有
  4. 情報共有の円滑化
  5. リアルタイムでの記録入力
  6. 写真の活用



事務作業の効率化は、看護師の負担軽減に直結します。以下の対策で、作業時間の短縮を図りましょう。

  1. 記録時間の短縮
  2. テンプレート・定型文の活用
  3. 音声入力
  4. 請求業務の効率化
  5. 加算漏れチェック機能の活用
  6. エラーチェック機能の活用
  7. 月次処理の自動化


これらの改善策は、一度に全てを実施するのではなく、優先順位をつけて段階的に導入することが成功のポイントです。特に小規模ステーションでは、スタッフの意見を取り入れながら、無理のないペースで進めることが成功への近道となります。

訪問看護ステーション運営の危機管理体制


在宅療養を支える訪問看護には、様々なリスクが伴います。医療事故や感染症、自然災害など、いざという時に適切に対応できる体制づくりが欠かせません。



医療事故は、利用者の生命に関わるだけでなく、事業所の存続にも大きな影響を与えます。未然防止と適切な対応のため、次のような体制整備が求められます。

事故を予防するための基本的な取り組みとして、次の項目を実施します。

  • 手順書の定期的な見直しと更新
  • ヒヤリハット事例の共有と分析
  • 定期的な安全研修の実施
  • ダブルチェック体制の確立




新型コロナウイルスの流行を機に、感染症対策の重要性が改めて認識されています。次の対策を日常的に実践することが必要です。

平常時から実施すべき感染対策として、以下の項目があります。

  • 標準予防策の徹底
  • 防護具の在庫管理
  • スタッフの健康管理
  • 感染症発生時の対応手順の整備




令和3年度介護報酬及び令和4年度の診療報酬改定により、全ての訪問看護ステーションにBCP(事業継続計画)の策定が義務付けられました(令和6年4月より完全義務化)。

BCPには、以下の重要事項を明確に定める必要があります。

  • 優先度の高い利用者のリストアップ
  • 災害時の連絡体制の確立
  • 必要物品の備蓄計画
  • 代替訪問ルートの検討
  • 他事業所との連携体制


効果的なBCPの運用には、組織的な体制整備が欠かせません。

実施項目具体的な内容実施頻度
災害対策委員会・BCPの見直しと改善
・訓練計画の策定
・課題の検討
3ヶ月に1回以上
指針の整備・災害時の役割分担
・具体的な行動手順
・連絡体制の明確化
年1回の見直し
研修実施・BCPの内容周知
・役割の確認
・必要な知識の習得
年2回以上
訓練の実施・安否確認訓練
・通信手段の確認
・避難経路の確認
年2回以上


実際の災害発生時には、次の手順に従って対応します。

  1. スタッフの安否確認
  2. 利用者の状況確認
  3. 医療機器使用者への優先対応
  4. 地域の医療機関との連携
  5. サービス提供体制の再構築


BCPの策定にあたっては、机上の計画で終わらせないことが重要です。自事業所の特性や地域性を考慮し、実効性のある計画を作成するとともに、定期的な訓練や見直しを通じて、継続的な改善を図りましょう。

まとめ:訪問看護ステーション立ち上げを成功に導くために


訪問看護ステーションの立ち上げを成功に導くには、入念な準備と適切な運営体制が不可欠です。特に開設初期は、資金計画の見積もり不足、人材確保の遅れ、地域分析の甘さなど、様々な課題に直面します。

これらの課題を乗り越えるためには、地域のニーズを正確に把握し、それに応えるサービス体制を整えることが重要です。同時に、サービスの質を維持しながら、安定した経営基盤を築くことも必要です。

特に小規模ステーションは、大規模ステーションにはない、地域密着型のサービスを提供できる強みがあります。利用者一人ひとりと向き合い、きめ細やかなケアを提供することで、地域社会に貢献できるステーションを築いていきましょう。

 

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最後までご覧くださりありがとうございました。

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