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【限界突破】訪問看護管理者の「辞めたい」を乗り越える!|継続と転身、それぞれの道を徹底解説

【限界突破】訪問看護管理者の「辞めたい」を乗り越える!|継続と転身、それぞれの道を徹底解説

公開:

2024年8月23日

更新:

2024年8月23日

訪問看護ステーションの管理者として日々奮闘するなかで、責任の重さや業務の多さに押しつぶされそうになり、「もう辞めたい」と感じることはありませんか?
実は、あなたの悩みは決して珍しいものではありません。多くの管理者が同じような思いを抱えています。

この記事では、管理者が直面する課題や悩みを深掘りし、具体的な対処法や、実際に困難を乗り越えた管理者たちの経験談を紹介します

管理者としてのキャリアを見つめ直し、よりよいステーション運営のヒントを見つけていきましょう。辞める選択肢も含めて、あなたにとってベストな道を一緒に探っていきます。

目次

 

訪問看護ステーションの管理者は、多岐にわたる業務と重責を担っています。訪問看護実態調査結果から、管理者が「辞めたい」と感じる理由がうかがえます。
まずは、おもな要因や現役管理者の声を紹介しましょう。(引用:日本看護協会「2014 年 訪問看護実態調査 報告書 」

 


 

訪問看護管理者の多くが、長時間労働を強いられています。

厚生労働省の調査によると、

  • 81.1%の管理者が時間外勤務を行っている
  • 36時間以上の時間外勤務を行う管理者が16.1%(スタッフは3.0%)

日中は訪問看護業務に追われ、夜遅くまで事務作業をこなしています。家族との時間がほとんど取れず、このままでは続けられないと感じることがあります。

 


 

管理者の時間外勤務で対応するおもな業務は以下の通りです。

  • 記録・報告書の作成(51.6%)
  • 他職種との連携(46.5%)
  • 書類や物品の管理(39.7%)

看護師として働いていた時とは全く異なる業務に戸惑うことが多いです。経営や人事管理など、専門外の知識が必要で、常に学び続けなければならないプレッシャーを感じています。

 


 

訪問看護管理者特有の負担として、オンコール待機があります。

  • 管理職の80%がオンコール待機を行っている
  • 平均月12.3回の待機がある

小さい子どもさんがいるスタッフばかりで、オンコールは私一人でほとんど対応しています。待機中は常に緊張状態で、休んだ気がしません。

 


 

訪問看護管理者には、以下の4つの主要な役割があります。

  • 事業所の運営と利益管理
  • 提供するケアやサービスの質の管理
  • スタッフの管理
  • 多職種との連携

運営者、看護師、人事マネージャー、コーディネーターなど、複数の役割を同時にこなさなければなりません。責任の重さと求められるスキルの多様さに、時々押しつぶされそうになります。

 


 

管理者の63.7%が、スタッフの処遇や評価に関して負担を感じています。

スタッフの評価や給与査定は、最も難しい業務の一つです。公平性を保ちながら、個々のモチベーションを上げる方法を考えるのに苦心しています。また、人材確保の難しさも大きな悩みです。


これらのデータと実体験から、訪問看護管理者の業務負担とストレスが高いレベルにあることが明らかです。

一方で、61.3%の管理者が「今の事業所で働き続けたい」と回答しており、やりがいを感じている管理者も多いことがわかります。

 

 

「辞めたい」気持ちを乗り越えるための即効性のある対処法をご紹介します。

 


 

メンタルヘルスケアは、管理者としての職務を継続する上で非常に重要です。自身の心身の状態を定期的にチェックし、必要に応じて専門家のサポートを受けることが効果的です。

対策具体的な方法
定期的なセルフチェック• ストレス度チェックリストの活用
• 睡眠、食事、運動などの基本的な生活習慣の見直し
専門家のサポート活用• 産業医や心理カウンセラーとの定期的な面談
• ストレスマネジメント研修への参加

 


 

ワークライフバランスを整えることは、仕事の満足度を高める重要な要素です。以下の戦略を実践することで、業務と私生活のバランスを改善できるかもしれません。

主要戦略具体的な施策
タイムマネジメントの徹底• 優先順位を明確にし、タスクリストを活用する
• 「時間泥棒」を特定し、排除する
業務の分担と委譲• スタッフに適切に業務を委譲し、管理業務に集中する時間を確保する
• オンコール当番制を導入し、管理者一人の負担を軽減する

 

実現可能なオンコール当番制の工夫には以下のような策を考えることができます。

 
 ◇ 夜間・休日を複数の時間帯に分け、短時間のシフトで分担 
 ◇ 子育てが一段落した元スタッフや退職したベテラン看護師をパートタイムで雇用   
 ◇ よくある質問や対応をマニュアル化し、オンコール担当者の負担を軽減 
 ◇ オンコール手当の増額や、勤務後の代休制度の充実 
 ◇ 短時間勤務者でも対応可能な時間帯のみ担当 
 ◇ メインとサブの2人体制にし、メインが出られない場合サブに転送 
 ◇ 当番は電話対応のみ、実働が必要な場合は全体チャットで共有しフォロー
 

 


 

ICTツールを活用することで、業務の効率化を図り、ストレスを軽減することができます。以下は、有効なツールの例です。

ICTツール用途
訪問スケジュール管理ソフト効率的な訪問計画の立案
訪問看護ソフト記録の簡素化と情報共有、管理者一人の負担を軽減する
コミュニケーションツール(Slack, Microsoft Teamsなど)スタッフ間の迅速な情報交換

 


 

良好なコミュニケーションは、職場環境の改善と個人のストレス軽減に大きく寄与します。以下の戦略を実践することで、職場内のコミュニケーションの改善が期待できます。

主要戦略具体的な施策
定期的な情報共有• 週1回のミーティングで課題や進捗を共有する
• 1on1ミーティングを活用し、個別の悩みや提案を聞く機会を設ける
オープンな職場環境の構築• 「報連相」(報告・連絡・相談)の文化を醸成する
• 成功事例や失敗事例を共有し、学び合う機会を作る

 


 

自己成長は、仕事への意欲を高める重要な要素です。以下の方法で、継続的な学習とスキルアップを図ることができます。

方法具体例
研修への積極的参加• 管理者向けの専門研修
•オンライン講座の活用
同業者ネットワークの構築• 他のステーション管理者との情報交換会
• SNSを活用した情報共有グループ

これらの対処法を組み合わせて実践することで、管理者としての業務効率と満足度を高めることができます。また、自身のメンタルヘルスケアにも注意を払い、必要に応じて専門家に相談することも検討しましょう。辞めることを考える前に、まずは試してみることをお勧めします。

 

 
≫管理者が直面する一般的な悩みとその解決策については、 こちらの記事:「訪問看護ステーション管理者のよくある悩みを解決!効果的なマネジメントを徹底解説します」で詳しく解説しています。 
 

 

 

「辞めたい」と感じながらも、その思いを乗り越え、具体的な改善を実現した事例を紹介します。どのようなアプローチで問題に取り組むべきかのヒントとなります。

 


 

状況: 毎日深夜まで仕事をし、休日も事務作業に追われる日々が2年間続いた。

対策:

  • 業務内容の棚卸しと優先順位付け
  • ICTツールの導入による業務効率化
  • スタッフへの権限委譲と育成プログラムの実施
  • 勤務時間管理システムの導入

結果: 1年かけて、残業時間を月平均60時間から12時間に削減。スタッフの自主性が高まり、チームの生産性が向上。仕事と家庭のバランスが取れ、職務継続への意欲が回復。

 


 

状況: 就任1年目で、スタッフの離職率が極めて高くなり、サービス提供に支障をきたしていた。

対策:

  • 匿名アンケートによる職場環境の課題抽出
  • 定期的な個人面談の実施
  • キャリアパスの明確化と研修制度の充実
  • 柔軟な勤務体系の導入

結果: 2年間の取り組みで、離職率を業界平均以下まで改善。スタッフの定着率が高まり、サービスの質も向上。職場の雰囲気が良くなり、新規採用も順調に進む。

 


 

状況: 就任時から3年連続の赤字で、経営の継続が困難だった。

対策:

  • 経営コンサルタントと協力して詳細な収支分析を実施
  • 地域ニーズ調査に基づく地域イベントへの参加
  • 効率的な訪問ルート設計による移動時間の削減
  • 多職種連携の強化による利用者獲得

結果: 1年半で黒字転換を達成。地域活動が評価され、利用者数が増加。経営の安定化により、スタッフの処遇改善も実現。

≫関連記事:「【選ばれる秘訣】訪問看護の営業で利用者を増やす!依頼が途切れないコツを徹底解説


3つの事例から、以下のポイントが浮かび上がります。


1. 問題の根本原因を特定し、具体的な改善策を立案することが重要

2. スタッフとの協力や外部専門家の活用が、問題解決の鍵となる

3. 短期的な対策と長期的なビジョンをバランスよく組み合わせる必要がある

4. 継続的な改善とフィードバックのサイクルを確立することが成功につながる

 

自身の状況に合わせて、事例を参考にしながら、具体的な改善策を検討し実行することで、職務継続への新たな展望が開けるかもしれません。

  

 

様々な努力を重ねても、辞めることが最良の選択となる場合もあります。

ここでは、辞める決断をした場合の具体的な手順と、次のキャリアステップに向けた準備について解説します。

 


 

以下のチェックリストの各段階を順に実行することで、組織的かつ効率的な引継ぎプロセスを確保できます。必要に応じて、組織の規模や特性に合わせてカスタマイズすることをおすすめします。

段階チェック項目
1. 退職の意思決定と通知□ 上司や経営者との面談を設定
□ 退職の意思を明確に伝える(原則1ヶ月前までに)
□ 退職理由を簡潔かつ建設的に説明
2. 引継ぎ計画の立案□ 重要業務のリストアップ
□ タイムラインの作成(2週間~1ヶ月程度)
□ 後任者の選定と教育計画の策定
3. 文書化と手順書の整備□ 業務マニュアルの更新
□ 重要な連絡先リストの作成
□ 進行中のプロジェクトの状況報告書作成
4. 関係者への通知□ スタッフへの説明(個別面談と全体会議)
□ 利用者とその家族への通知(文書と訪問時の説明)
□ 連携医療機関やケアマネジャーへの連絡
5. 行政手続き□ 管理者変更届の準備(都道府県知事へ提出)
□ 必要に応じて介護保険事業者の変更届の準備
6. フォローアップ□ 退職後のサポート期間の設定(1-3ヶ月程度)
□ 後任者からの問い合わせ対応方法の確認

 


 

目標や個人の経験に基づいて、最適なパスを選択しましょう。

キャリアパス具体的な職位求められるスキル
医療機関の管理職• 病院の看護部門管理者
• クリニックの看護責任者
• 組織管理能力
• 医療知識
• 多職種連携経験
介護施設の管理者• 特別養護老人ホームの施設長
• デイサービスセンターの管理者
• 介護サービス知識
• 人材管理能力
• 地域連携経験
医療系教育機関の教員• 看護学校の講師
• 訪問看護認定看護師の指導者
• 豊富な実務経験
• 教育スキル
• 最新の医療情報へのアクセス
医療・介護コンサルタント• 訪問看護ステーション立ち上げ支援
• 経営改善コンサルティング
• 経営知識
• 問題分析能力
• コミュニケーション能力
地域包括支援センターの職員• 主任介護支援専門員
• 地域連携コーディネーター
• 地域資源の知識
• 多職種連携能力
• ケアマネジメント能力

 


 

訪問看護管理者としての経験は、多くの分野で高く評価されるスキルセットです。辞める決断をしても、これまでの経験を次のキャリアに活かすことで、新たな成長の機会を見出すことができるでしょう。慎重に準備を進め、自分に最適な次のステップを見つけてください。

準備段階チェック項目
1. スキルの棚卸しと強みの分析□ 管理者としての経験を具体的に整理
□ 獲得したスキルを客観的に評価
□ 転職市場でのアピールポイントを明確化
2. 資格・スキルの更新□ 関連資格の取得(例:介護支援専門員、認定看護管理者)
□ デジタルスキルの向上(例:ExcelやICTツールの活用能力)
□ 最新の医療・介護制度の知識更新
3. ネットワーキング□ 業界団体や研究会への参加
□ SNSを活用した情報収集と人脈形成
□ 転職エージェントの活用
4. 履歴書・職務経歴書の作成□ 管理者としての実績を数値化して記載
□ 問題解決能力やleadershipスキルの具体例を挙げる
□ 志望動機を明確に記述
5. 心身の健康管理□ 十分な休息期間の確保
□ 必要に応じてキャリアカウンセリングの利用
□ 家族との対話と支援体制の構築
6. 注意点□ 競業避止義務への配慮
□ 守秘義務の遵守
□ 引継ぎ完了まで責任を持って対応

 

 

訪問看護管理者として直面する課題や「辞めたい」と感じる状況は、実はキャリアを見直し、新たな成長の機会を見出すチャンスでもあります。

 


 

以下のキャリア分析ツールなどを用いて、自己分析をしてみましょう。

a) SWOT分析の活用



– 強み(Strengths): 例)リーダーシップ能力、多職種連携スキル

– 弱み(Weaknesses): 例)財務管理の知識不足、ストレス耐性の低さ

– 機会(Opportunities): 例)地域包括ケアシステムの拡充、ICT化の進展

– 脅威(Threats): 例)競合ステーションの増加、制度改正による経営環境の変化

 

実施手順:

  1. 各項目を箇条書きで列挙する
  2. 強みと機会を組み合わせて、キャリア発展の可能性を探る
  3. 弱みと脅威に対する対策を考える

≫関連記事:「ニューキャリアのキャリア分析ツール③|SWOT分析(ワークシート付)」

 

b) キャリアアンカーの特定

エドガー・シャインが提唱した8つのキャリアアンカーを参考に、自分の価値観や動機を理解します。


 1. 専門・職能別コンピタンス  
 2. 全般管理コンピタンス
 3. 自律・独立
 4. 保障・安定
 5. 起業家的創造性
 6. 奉仕・社会貢献
 7. 純粋な挑戦
 8. 生活様式
  

実施手順:

  1. 各アンカーについて、自分にどの程度当てはまるか5段階で評価する
  2. 最も高得点のアンカーを特定し、現在の役割との適合性を考える
  3. 今後のキャリア選択の指針とする

≫関連記事:「キャリアアンカーとは|8つのタイプと診断方法を解説-チェックシート付-」

 


 

a) キャリアカウンセリングの目的

  • 客観的な視点からのキャリア分析
  • 潜在的な能力や興味の発見
  • 具体的なキャリアプランの策定支援

 

b) 効果的な活用のポイント

  • 事前に自己分析を行い、課題や悩みを整理する
  • 具体的な質問や相談事項をリストアップする
  • カウンセリング後の行動計画を立てる

 

c) キャリアカウンセラーの選び方

  • 医療・介護分野の知識を持つカウンセラーを選ぶ
  • 資格や経験年数を確認する
  • 初回の無料相談を活用し、相性を確認する

 


 

a) ライフラインチャートの作成

過去から現在までの職業人生を振り返り、今後の展望を可視化します。

手順:

  1. 横軸に年齢、縦軸に満足度をとったグラフを作成
  2. これまでの転機や重要なイベントをプロットする
  3. 現在地点から5年後、10年後の理想の姿を描く

 

b) キャリアビジョンステートメントの作成

自分の価値観、スキル、興味を統合し、理想のキャリアを簡潔に表現します。

例:「私は、地域包括ケアシステムの中核として、ICTを活用した職員の働きやすさ向上と、地域高齢者の意思決定支援に貢献します。」

 

c) アクションプランの策定

ビジョン実現に向けた具体的な行動計画を立てます。

期間目標例
短期目標(1年以内)• ICT活用スキルの向上
• 経営管理の基礎知識習得
中期目標(3年以内)認定看護管理者の資格取得
• 地域連携ネットワークの構築
長期目標(5年以上)• 複数のステーション経営
• 地域の訪問看護教育プログラムの開発

訪問看護管理者としてのキャリアを再考することで、新たな可能性や目標が見えてくるかもしれません。自己分析やキャリアカウンセリングを通じて得た洞察をもとに、長期的なビジョンを描き、それに向けて着実に歩んでいくことが重要です。状況や環境の変化に応じて柔軟に計画を修正しながら、自分らしいキャリアを築いていきたいですね。

 

 

訪問看護管理者が「辞めたい」と感じるのは珍しいことではありません。この思いは、実はキャリアの転換点となり得ます

重要なのは、問題に真摯に向き合い、具体的な改善策を実行する勇気を持つことです。時には外部の支援を求めたり、自己分析を行ったりすることも有効でしょう。

「辞める」か「続ける」かに正解はありません。自分自身と向き合い、十分な情報に基づいて決断することが大切です。どちらを選んでも、これまでの経験は次のステップで必ず活きてきます。

訪問看護管理者の役割は困難を伴いますが、同時に大きなやりがいと成長の機会も秘めています。この記事が、皆さんのキャリアを見つめ直すきっかけとなれば幸いです。


 

えがおDE看護は”電子カルテ機能”と”レセプト請求機能”に特化して、26年現場の声や複雑な制度に対応し続けているので、訪問看護ステーション業務をお任せできます。

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最後までご覧くださりありがとうございました。

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