訪問看護のレセプト業務を「今」学ぶべき理由

訪問看護ステーションの収益を左右するレセプト業務は、特に小規模ステーションでは管理者自身が担当することが多い重要な業務です。まずは、レセプト業務を「今」学ぶべき理由を、業界の現状と管理者のリアルな悩みから解説します。
レセプトの知識不足が倒産を招く?
レセプトの知識不足が、訪問看護ステーションの倒産に直接つながるわけではありません。しかし、知識不足はステーションの経営を徐々に悪化させる原因になりえます。
レセプトに関する知識が不足していると、以下のようなリスクが生じます。
- 請求漏れによる収益減少
- 返戻による資金繰りの遅れ
- 制度改正への対応遅れによる機会損失
これらの問題が積み重なると、ステーションの経営基盤を揺るがす可能性も否定できません。特に小規模ステーションでは、キャッシュフローの悪化が経営に響きます。
レセプト知識がもたらす3つのメリット
レセプトに関する知識は、経営の安定だけでなく、ステーションの成長にもつながります。
主なメリットは以下の3つです。
①適切な請求による収益の最大化
算定要件を正しく理解し、適切な請求を行えば、本来得られるべき収益を確実に獲得できます。請求漏れや誤った算定を防ぎ、ステーションの財務基盤を強化できるのです。
②利用者と家族からの信頼獲得
丁寧な情報提供や相談対応を通じて、利用者やその家族からの厚い信頼を得られます。請求内容に関する質問にも的確に答え、安心感を提供できます。
③スムーズな運営による業務効率の向上
請求業務がスムーズに進めば、事務作業の時間を大幅に削減し、本来の看護業務や管理業務に時間を使えます。結果として、ステーション全体の生産性が向上します。
誰がやる?レセプト担当の3つの選択肢
小規模ステーションでは管理者以外のレセプト担当者の確保が課題です。
レセプト担当者として、以下の3つの選択肢についてメリットとデメリットを検討しましょう。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
医療職への教育(一部を委託) | ・情報収集と記録作成を正確に行い、請求漏れや返戻リスクを軽減 ・加算や利用者情報の共有がスムーズ ・ステーション内にノウハウが蓄積 ・担当者が不在でも対応可能 |
・医療職の負担増加で本業に支障 ・専門知識不足で誤った解釈の可能性 ・継続的な学習が必要 |
事務員採用 | ・専門知識を持つ人材確保 ・レセプト業務の専門性向上 ・専任者によるフォーカス |
・人件費増加 ・採用・教育の時間と手間 ・経験豊富な人材確保の難しさ |
アウトソーシング | ・専門業者への委託で安心 ・人件費削減 ・本来の業務に集中 |
・情報漏洩のリスク ・内部ノウハウの蓄積なし ・連携調整の手間 |
自ステーションにあった選択肢の選び方
ステーションの規模、状況、将来ビジョンに合わせた選択が重要です。
最適解は一つではなく、成長段階によって変化することもあります。立ち上げ時はアウトソーシングを活用し、安定期に入ったら専門事務職員を雇用するなど、柔軟な対応も検討する価値があります。
【基礎知識】訪問看護レセプトを完全理解|制度概要から請求の流れまで

訪問看護のレセプト業務には、医療保険と介護保険2つの保険制度の知識が不可欠です。ここでは、制度の概要から請求の流れまで、レセプトの基礎知識を理解するための情報をまとめました。
医療保険と介護保険のしくみを把握する
レセプト業務は、訪問看護サービスの提供から報酬の請求、支払いに至るまでの一連の流れを指します。
医療保険と介護保険2つの保険制度に基づいて請求され、それぞれ対象者やサービスの内容、請求方法などに違いがあります。
項目 | 医療保険 | 介護保険 |
対象者 | 全ての医療保険加入者(年齢制限なし) | 65歳以上の要介護・要支援認定者、または40歳以上で特定疾病により要介護認定を受けた方 |
---|---|---|
サービス | 病気やケガによる治療費用の補填(医療機関でのサービス) | 要介護認定を受けた方が利用できる、自宅や施設での介護サービス。生活援助的な側面も含む |
請求先 | 審査支払機関(国民健康保険団体連合会、社会保険診療報酬支払基金) | 市町村 |
自己負担割合 | 所得に応じて1~3割 | |
注意点 | 疾病や状態によって回数や時間に制限がある場合がある | 要介護度に応じて利用できるサービスの種類や回数に制限がある |
優先順位 | 特定疾病や急性増悪時は医療保険が優先される。通常は要介護認定に基づく | 65歳以上で要介護認定を受けた方が優先されるが、特定条件下では医療保険が適用される |
医療保険と介護保険の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
≫【保存版】訪問看護で医療保険が使える条件は?介護保険との違いを徹底解説!
オンライン請求が原則!レセプト作成から支払いまでの流れ
レセプト作成は、医療保険・介護保険ともに専用のソフトやシステムを利用するのが一般的です。現在ではオンライン請求が原則となっており、事務作業の効率化やコスト削減に大きく貢献します。
レセプト作成から請求の流れは、以下のとおりです。
- レセプト作成
訪問看護指示書や訪問記録を基に作成します。自動算定機能付きの訪問看護ソフトが多く活用されています。 - レセプトチェック
作成したレセプトに誤りがないか確認し、算定ルールに違反していないかチェックします。 ダブルチェックや第三者による確認を活用することで返戻リスクを軽減できます。 - オンライン請求
- 医療保険: 審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金など)へ送信します。
- 介護保険: 市区町村へ送信します。
レセプト業務の基本は以下の記事で確認できます。
≫【実務者必見】訪問看護レセプト業務の基本と対策|効率化と請求ミスゼロへ
医療保険の請求に関する詳細やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
≫オンライン請求も安心! 訪問看護の医療保険レセプト記入例|令和6年度版対応マニュアル
公費負担医療のポイント
医療保険のレセプトで特に複雑なのが、公費負担医療。
公費負担医療制度とは、国や自治体が医療費を負担する制度です。対象者や制度の種類が多岐に渡るため、レセプトの作成に時間がかかったり、ミスが起こりやすくなったりする傾向があります。
制度の概要と種類
公費負担医療制度は主に以下の4つに分類されます。
- 感染症予防
- 特定疾病
- 障害者
- 生活困窮者
請求時の注意点
請求時は以下に注意しましょう。
- 公費負担医療の対象となるサービスや利用者を確認する
- 公費負担の割合や上限額を確認する
- 必要書類を確認し、漏れなく添付する
- 公費負担者番号と受給者番号の確認
- 併用する場合の記載方法に注意
- 電子カルテとの整合性確認
- 最新の制度変更を把握する
- 自治体や関係機関への確認
実際に請求する際は、各自治体や関係機関に問い合わせたり、最新の情報が記載された書籍を確認したりしながら、確実に業務を進めていきましょう。
訪問看護レセプト業務の学び方と教材紹介

効率的な学習にはレベルに合った勉強方法が重要です。
ここでは、管理者におすすめの学習方法と教材、研修をレベル別に紹介します。
1. まずはレセプト業務の全体像を理解する
レセプト業務の経験がない方や、知識に不安がある方は、まず基礎を固めることから始めましょう。制度の概要や請求の流れなど、基本となる知識を理解することで、その後の学習がスムーズに進みます。
レセプト業務を効率的に学ぶには、管理者になる前に訪問看護で勤務し、実際の業務を経験するのがおすすめです。管理者になれば、半年程度で大体のことは覚えることができます。
また、訪問看護に特化した研修を受講することも有効な手段です。
オススメ教材
- 動画アーカイブ:カーネルが無料提供する「基礎からわかる訪問看護医療請求(アーカイブ配信)」
- 書籍:「訪問看護報酬請求マニュアル 第3版」(中央法規出版)
- 書籍:公益財団法人日本訪問看護財団「訪問看護関連報酬・請求ガイド」
オススメ研修
- オンライン研修:日本医療事務協会「訪問看護ステーション向け請求事務研修」
2. スキルアップに役立つ!お悩み別 おすすめ教材
基礎知識を理解したら、実際の事例を通して、より実践的な知識を身につけていきましょう。
よくある請求の誤りや、返戻への対処方法などを学ぶことで、実務で役立つスキルを習得できます。
オススメ教材
- 書籍:「訪問看護お悩み相談室」(中央法規出版)
訪問看護の現場でよくあるお悩みや疑問を、事例形式で解説した書籍です。
3. 知識をアップデート!法改正と最新情報のキャッチアップ
訪問看護のレセプト業務に関する法律や制度は定期的に改正されます。最新の情報を常にキャッチアップし、適切な請求業務を行うことが重要です。
以下の方法で、法改正や最新情報を学ぶことができます。
- 専門誌の定期購読
- 「訪問看護と介護」や「コミュニティケア」などの専門誌で、最新の法改正情報を確認できます。
- 厚生労働省のウェブサイト
- 公式サイトで最新の法改正情報や通知を確認できます。
- 各都道府県看護協会の研修
- 地域ごとの最新情報や法改正に関する研修を開催しています。
- 訪問看護ソフト提供会社のセミナー
- カーネルなどのソフト提供会社が、法改正に関するセミナーを定期的に開催しています。
- オンラインセミナーや動画配信
- 時間や場所の制約なく、最新情報を学べるオンラインセミナーが増えています。
法改正や制度変更があった際は、これらの情報源を活用して速やかに対応することが、適切なレセプト業務につながります。
また、定期的に情報をチェックする習慣をつけることで、常に最新の知識を維持できるでしょう。
レセプト業務効率化のための訪問看護ソフト導入

訪問看護ソフトを導入すれば、レセプト業務の悩みを軽減し、経営安定化にも貢献します。
ここでは、小規模ステーションの管理者が知っておくべきソフトのメリットと選び方をご紹介します。
≫関連記事「訪問看護ソフト徹底比較|選び方から導入事例まで」
訪問看護ソフト導入のメリット
主なメリットは次の3つです。
- 請求業務の効率化
- レセプト作成を自動化し、請求業務の時間を削減します。
- 人的ミスのリスク軽減
- 算定ルールや保険情報を自動チェックし、返戻リスクを軽減します。
- 最新の法改正への対応
- 制度改定や法改正の情報を自動でアップデートします。
訪問看護ソフト選びのポイント
ソフト選びでは、以下の3つのポイントを重視しましょう。
ポイント | 内容 |
費用対効果 | 導入コストだけでなく、削減できる時間や人件費も考慮して、費用対効果を比較検討 |
操作性 | ITに不慣れなスタッフでも操作できるか、無料体験版などで確認 |
サポート体制 | 電話やメールでの問い合わせ対応といった、導入後のサポートが充実しているか確認 |
『えがおDE看護』紹介
訪問看護ソフト『えがおDE看護』は、複雑で手間のかかるレセプト業務の負担を軽減します。
小規模ステーションから高評価をいただいている理由は以下の特徴です。
- 「特記」「一部負担金額」「一部負担金区分」を自動反映
- 都道府県単位の公費・助成の「優先順」「自己負担限度額」の有無を自動反映
- 作成レセプトの正確なエラーチェック
実際に導入いただいているステーションでは、複雑な制度を自分で調べる必要がなくなりレセプト業務の負担が軽減されただけでなく、返戻が大きく減ったことをご報告いただいています。
訪問看護レセプトに関するよくある質問

現場からよく寄せられる質問をまとめました。
Q1:レセプト業務で一番時間がかかるのはどの作業ですか?
⇒最も時間を要するのは「入力作業」と「不備チェック」です。
訪問記録や指示書から請求データを入力し、その後、誤りや算定ルール違反がないか確認する必要があります。
小規模ステーションではチェック体制が弱くなりがちですが、返戻が発生すると再処理に余計な時間がかかります。
入力の正確性とチェックの効率性の両立が時間短縮のカギです。
Q2:レセプト業務を効率化するための裏ワザはありますか?
⇒実践的な効率化方法をご紹介します。
- 作業ルーチン化
毎月同じ手順で進めることでミスを防ぎます。 - 作業時間の固定化
「レセプトタイム」として特定時間を確保し、電話や来客対応を他スタッフに任せて集中できる環境を作りましょう。中断なく作業すれば効率は大幅に上がります。 - PC操作テクニックの向上
画面分割や定型文保存などを活用して入力スピードを向上させます。
これらのポイントを実践することで、正確かつ効率的なレセプト業務を実現し、経営の安定と利用者へのサービス向上に繋げましょう。
まとめ

訪問看護のレセプト業務は複雑ですが、基礎知識を習得し、適切な方法で学習を進めることで、誰でも対応可能です。
今回ご紹介した情報を参考に、ステーションの成長へつなげていきましょう。
最後までお読みくださりありがとうございました。