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訪問看護ステーション立ち上げと資格|看護師以外の経営参画方法も解説

訪問看護ステーション立ち上げと資格|看護師以外の経営参画方法も解説

公開:

2025年2月13日

更新:

2025年2月13日

「訪問看護ステーションを立ち上げたいけれど、資格って必要?」
「どんな資格が経営に役立つの?」

訪問看護ステーション立ち上げには様々な道があります。看護師として独立を目指す方はもちろん、PT・OT・STとして経営に携わる方も増えています。 しかし、資格の活かし方や役割分担など、実際の進め方に迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、訪問看護ステーションの立ち上げに必要な資格、経営者の役割、そして資格を最大限に活かす方法について徹底解説します。

この記事を読むとわかること

✓ 訪問看護ステーション立ち上げに必要な資格要件
✓ 看護師資格がなくても経営参画できる具体的な方法
✓ 2024年の制度改定を踏まえた運営のポイント

 

 

 

 

ぜひ最後まで読んで、あなたの理想の訪問看護ステーションを形にするための一歩を踏み出しましょう。

 

訪問看護ステーションの立ち上げ準備の流れについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。
≫【完全ガイド】訪問看護ステーション立ち上げ計画:成功するための心構えと準備

目次

訪問看護ステーションを立ち上げるにあたり、まず把握しておきたいのが「誰がどんな役割を担うのか」という点です。経営者、管理者、出資者など、それぞれの立場によって必要な資格や求められる役割が異なります。

 


 

開業準備を進めるうえで、以下3つの役割を明確にしておく必要があります。一人で複数の役割を担うことも、役割分担することも可能です。以下に、役割と必要条件をまとめました。

役割必要な資格・知識・経験主な業務内容
管理者看護師または保健師の資格・利用者へのサービス品質管理
・職員の指導・教育
・関係機関との連携
経営者経営に関する知識・経験(必ずしも看護師資格は不要)
介護保険事業を行うには法人格が必要
株式会社や合同会社などの法人を設立する必要あり
・事業計画の策定
・資金調達
・経営戦略の立案
・人事・労務管理
出資者資格不要・資金提供
・経営戦略への参画

 

立ち上げ時の体制は、大きく分けて3つのパターンがあります。

パターン特徴メリット
看護師による経営と管理の兼務看護の専門知識と経営手腕の両方が必要意思決定が早く、小回りが利く
セラピスト経営・看護師管理セラピスト(PT・OT・ST)の専門性を活かした経営が可能リハビリテーションに強みを持てる
法人経営・看護師管理医療法人や株式会社による経営経営と現場の役割分担が明確

 


 

看護師の資格がなくても、訪問看護ステーションの立ち上げや運営には様々な形で携わることができます。それぞれの業務内容と必要なスキルを把握しておきましょう。

業務内容概要必要な知識・スキル
経営管理・経営戦略の立案
・事業計画の作成
・資金調達 など
・経営の知識・経験
・財務分析力
労務管理・従業員の採用
・給与計算
・社会保険手続き など
・労働関係法令の知識
・社会保険労務士との連携力
事務業務・請求業務・会計処理
・備品管理
・電話対応・来客対応など
ステーションの運営を円滑にするための事務作業全般
・介護保険制度の知識
・医療事務の基礎知識
広報活動・地域への周知活動
・営業活動
・連携づくり など
・マーケティングの知識
・コミュニケーション力
ITサポート・電子カルテの導入
・介護ソフトの運用
・情報管理 など
・システムの知識
・セキュリティ対策力

 


 

医療・介護の専門職にとって、訪問看護ステーションの立ち上げは魅力的な選択肢の一つです。
特に、開業権を持たない理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)にとって、訪問看護ステーションの立ち上げは、独立して事業を始めるための有効な手段と言えるでしょう。

専門職には、以下のような強みを活かせる機会があります。

  • 医療と介護の両面からのアプローチが可能
  • 地域住民の多様なニーズに対応できる
  • 専門知識を基にした質の高いケアの提供
  • 複数店舗展開や多事業展開の可能性

 

このように、それぞれの専門性を基盤に、地域の課題解決に貢献できる事業展開が期待できます。

 

訪問看護ステーションの立ち上げを準備するうえで、管理者の要件の把握は必要不可欠です。管理者は、指定訪問看護事業所の運営において中心的な役割を担い、その資格や経験は、サービスの質を左右すると言っても過言ではありません。ここでは、管理者に求められる資格要件や採用時の注意点を説明します。

管理者の役割について詳しくは以下の記事も参照ください。
≫訪問看護ステーション管理者のよくある悩みを解決!効果的なマネジメントを徹底解説します

 


 

管理者には、原則として看護師または保健師の資格が必須となります。これは介護保険法で定められた要件であり、医療の専門知識を持つ人材が管理者として適切と判断されているためです。

 


 

管理者の採用は、立ち上げ成功の重要な要素です。以下のポイントを参考に、計画的な採用を進めましょう。

  1. 採用のタイミング
    • 事業計画が具体化してきた段階(開業2-3ヶ月前を目安)
    • 業務準備や法的手続き、スタッフ採用のため、開業前から勤務開始
  2. 人件費
    事業計画を作成する際には、管理者の人件費を考慮した収支計画を立てる必要があります。
    • 開業前の給与支払いが必要
    • 社会保険関連費用
    • 研修費用
  3. 採用基準
    管理者は、利用者へのサービスの質を管理する重要な役割を担うため、採用基準を明確にしておく必要があります。
    看護師または保健師としての資格だけでなく、訪問看護の経験管理能力コミュニケーション能力などを総合的に判断して採用を検討することが重要です。

 

💡Point 早期採用により、開業後のトラブルを防ぎ、円滑な運営が可能になります。

 

管理者の年収事情について詳しくはこちらをご覧ください。
≫【高給のヒミツ】訪問看護ステーション管理者の年収事情|地域差から将来展望まで詳しく解説

 


 

管理者についてのよくある質問をまとめました。

  • Q:准看護師では管理者になれますか?
    A:いいえ、准看護師の資格では、管理者になることはできません。管理者になるためには、看護師または保健師の資格が必須です。
     
  • Q:管理者の経験は必要ですか?
    A:必須ではありませんが、訪問看護の経験があるとよりスムーズです。研修やセミナーで知識を補うことも可能です。
     
  • Q:管理者は常勤でなければなりませんか?
    A:はい、管理者は常勤である必要があります。ただし、小規模事業所では一定の条件下で他業務との兼務が認められます。

 

小規模な訪問看護ステーションには、大規模事業所にはない独自の強みがあります。特に、きめ細かな多職種連携によるサービス提供が特徴です。ここでは、強みを活かし、課題を乗り越えるポイントを解説します。

 

訪問看護でのリハビリに関する詳しい情報は、こちらも参照ください。
≫訪問看護リハビリのルール徹底理解と協業体制の極意~2024年度改定を踏まえた看護師とセラピストの連携~

 


 

訪問看護ステーションにおける多職種連携は、看護師、PT、OT、STなどの専門職が、それぞれの専門性を活かし、利用者の在宅生活を支援するために協力し合うことです。それぞれの専門性を理解した上で、利用者にとって本当に必要なケアは何か、具体的な事例を交えながら紹介します。

  • 事例1:退院直後のADL低下に対するアプローチ
    退院直後の利用者は、ADL(日常生活動作)が著しく低下している場合があります。看護師は、医学的な管理を行いながら、PTやOTと連携し、早期からのリハビリテーションを提供します。PTは、身体機能の回復を促す運動療法を、OTは、日常生活動作の練習や環境調整を行います。
  • 事例2:認知症利用者への精神面と生活面へのアプローチ
    認知症の利用者は、身体機能の低下だけでなく、精神的な不安定や生活上の困難を抱えている場合があります。看護師は、服薬管理や精神的なケアを行いながら、OTと連携し、認知機能の維持・向上を促す訓練や、安全な生活環境の整備を行います。

 


 

小規模訪問看護ステーションでは、少ない人数で運営しなければならない上、看護職員6割以上の人員配置要件や、2024年の介護報酬改定によるリハビリテーションへの減算措置など、セラピストの配置が難しいという現状もあります。起業を検討する際には、これらの点を考慮し、経営戦略を立てる必要があります。

 


 

多職種連携で利用者中心のケアを実現するには、スムーズな情報共有とコミュニケーションが欠かせません。しかし、特に小規模ステーションでは、経営者が現場業務を兼務するプレイングマネージャーであることも多く、多職種間の連携に時間を確保することが課題となっています。
そこで、限られた時間と人員でも実践できる連携のポイントを紹介します。質の高いケアの実現に向けて、できることから始めてみましょう。

項目具体策期待効果
情報共有・訪問看護ソフトの活用
・共有ツールの導入
迅速な情報伝達
コミュニケーション・定期カンファレンス
・ショートミーティング
チーム力の向上
相互理解・各職種の専門性理解
・役割分担の明確化
サービスの質向上
目標設定・利用者中心の目標共有
・達成度の確認
効果的なケアの実現

 

 

訪問看護ステーションの立ち上げには、看護師や保健師の資格だけでなく、様々なスキルや経験が役立ちます。ここでは、経営を成功に導くために役立つスキルをご紹介します。

 


立ち上げから運営まで、以下の3つのスキルが特に重要となります。それぞれのスキルについて、具体的な行動と期待される効果を説明します。

 

訪問看護ステーションを運営していく上で、経営・マネジメントスキルは非常に重要です。事業計画策定、資金調達、収支管理、人事管理、マーケティングなど、幅広い知識とスキルが求められます。

【行動ステップ】 

  • 経営に関する書籍を読む 
  • セミナーに参加する 
  • 先輩経営者に相談する 
  • 経営状況を把握できる訪問看護ソフトを導入する

【期待できる効果】 

  • 経営の安定化 
  • 事業拡大

訪問看護ステーションの運営には、地域の医療機関や介護施設との連携が欠かせません。地域に根ざしたステーション運営を行う上で、地域連携・営業スキルは非常に重要です。

【行動ステップ】

  • 地域の会合やイベントに参加する 
  • 地域のケアマネジャーと連携する 
  • サービス説明会を開催する

【期待できる効果】

  •  利用者数増加 
  • 地域での信頼獲得

営業について詳しくはこちらの記事を参照ください。
≫【選ばれる秘訣】訪問看護の営業で利用者を増やす!依頼が途切れないコツを徹底解説

 

業務効率化や情報共有の円滑化を図る上で、ITスキルは必要不可欠です。訪問看護ソフトやタブレット端末の活用が一般的となっている現在、基本的なITリテラシーは必須となっています。

【行動ステップ】 

  • 情報セキュリティに関する研修を受講する 
  • 職員向けのIT研修を実施する 
  • ITツールを導入する

【期待できる効果】

  • 情報漏洩リスク軽減
  • 業務効率化 
  • 情報共有の円滑化 

 

 


 

ケアマネジャー資格は、訪問看護ステーションの立ち上げに直接必要な資格ではありませんが、取得することで、経営や運営に役立つ様々なメリットがあります。

ケアマネジャー資格を取得するメリット・デメリットは次のとおりです。

メリット】

  • 介護保険制度への精通: 介護保険制度に関する深い知識を習得し、制度を理解した上で適切なサービス提供や請求業務を行える
  • ケアプランセンターでの実習: 試験合格後、実務研修でケアプランセンターに実習に行くことができ、開業前からケアマネジャーとの繋がりを構築できる
  • 多角的な視点の獲得: 利用者の生活状況やニーズを把握し、多職種と連携しながら最適なケアプランを作成する経験は、訪問看護ステーションの運営において、利用者中心のサービスを提供するために役立つ

【デメリット】

  • 費用: 受験費用や研修費用など、約10万円程度の費用がかかる
  • 時間: 試験勉強や実務研修に、一定の時間を費やす必要がある(研修は16日程度)
  • 更新: 資格を維持するためには、定期的な研修を受講する必要がある

 

訪問看護ステーションの立ち上げには、資格だけでなく、それ以上に大切な要素があります。それは、チームワークと理念です。どんなに優れた資格やスキルを持っていても、チームが一体となっていなければ、利用者に質の高いサービスを提供することはできません。また、明確な理念がなければ、ステーションの方向性が定まらず、継続的な成長は望めません。

以下の3つの要素は、長期的な成功の礎となります。

  • 法令遵守: 資格を持つ職員が、それぞれの専門領域において法令を遵守し、責任ある行動をとることが不可欠です。
  • 質の高いサービス提供体制: 多職種連携、情報共有、継続的な研修、利用者満足度調査などを通して、利用者にとって安心できるサービスを提供します。
  • 継続的な人材育成: 資格取得支援制度や研修制度などを充実させ、職員が意欲的にスキルアップに取り組める環境を整備します。

 

訪問看護ステーションの立ち上げは、決して簡単な道のりではありませんが、適切な資格を取得し、必要なスキルを身につけ、何よりチームワークを大切にすることで、必ず成功へと繋がります。この記事が、地域に根ざした訪問看護ステーションの立ち上げを目指す皆様にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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