訪問看護ステーション立ち上げの全体像と準備の流れ
看護の専門性だけでなく、経営者としての視点も必要な訪問看護ステーションの立ち上げ。事前の周到な準備こそが成功への近道となります。順を追って、開設までの道のりを見ていきましょう。
立ち上げまでの流れチェックリスト
訪問看護ステーションの立ち上げを考え始めたら、まずは以下のチェックリストで準備の全体像を把握しましょう。実際の開設準備に入る前に、これらの項目について十分に検討することが重要です。
求められる3つの能力
訪問看護ステーション経営の成功には、以下の3つの能力が不可欠です。これらの能力は相互に関連し、三位一体となって事業の成長を支えます。
必要な能力 | 具体的な内容 | 効果的な習得方法 |
---|---|---|
①経営能力 | ・事業計画の策定と管理 ・収支計画・資金繰り ・介護報酬請求の理解 ・人件費管理 | ・既存ステーションでの管理者経験 ・経営セミナーへの参加 ・税理士や社労士との相談体制 ・構築介護事業の経営塾への参加 |
②運営能力 | ・人材採用・育成 ・医療機関との連携 ・リスク管理体制 ・情報システム活用 | ・他施設での管理職経験 ・介護・医療保険制度の研修受講 ・システムベンダーの講習会 ・同業者とのネットワーク構築 |
③現場力 | ・質の高い看護提供 ・チームワーク構築 ・緊急時対応 ・家族との信頼関係 | ・様々な診療科での経験 ・認定看護師資格の取得 ・事例検討会への参加 |
これらの能力は一朝一夕には身につきません。特に、既存の訪問看護ステーションでの管理者経験は、実践的に学ぶ最も効果的な方法といえます。
立ち上げまでのステップ
開設準備は通常6ヶ月から1年かかります。以下の流れで着実に準備を進めていきましょう。
段階 | 期間 | 主な実施項目 | ポイント |
---|---|---|---|
①構想段階 | 2-3ヶ月 | 理念の明確化・市場調査・事業計画作成 | 医療法人や施設の訪問看護併設状況を必ずチェック |
②準備段階 | 2-3ヶ月 | 場所の選定・人材計画・資金調達 | 1000-2000万円規模の資金計画が必要(地域による) |
③実務段階 | 1-2ヶ月 | 法人設立・申請準備・採用活動 | 各種規程の整備も忘れずに |
④開設準備 | 1-3ヶ月 | 設備導入・研修実施・連携構築 | 開設前に地域連携を確立 |
訪問看護ステーション立ち上げに必要な資格と基準
訪問看護ステーションの開設には、介護保険法および医療保険制度に基づく明確な基準があります。まずは、基準をしっかり理解しましょう。
管理者の資格要件と人員配置の基準
看護職員の人数は、地域のニーズや訪問件数に応じて適切に配置する必要があります。特に開設当初は、管理者自身も訪問に出ることを想定した人員配置を検討しましょう。
人員に関する基準は以下のとおりです。
区分 | 必要な資格・要件 | 人数 | 備考 |
---|---|---|---|
管理者 | 原則、保健師または看護師 | 常勤1人 | 他の職務との兼務可能 |
看護職員 | 保健師・看護師・准看護師 | 常勤換算2.5人以上 | うち常勤1人以上必須(管理者含む) |
リハビリ職員 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 | 必要数 | 配置は任意(地域ニーズに応じて検討) |
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施設・設備の基準
開設には、以下のような適切な施設・設備の整備が求められます。
事業所の設置
事務室は必ず専用区画とし、併設事業所等の機能や会計・経理と明確に分離する必要があります。具体的に必要な設備・区画は以下のとおりです。
・専用の事務室(十分な広さと個人情報管理が可能な構造) ・利用者との面談室 ・衛生材料や備品の保管用倉庫 ・洗面所・手洗い設備 ・感染予防のための汚物処理室 ・器具の消毒スペース ・スタッフ用の更衣室 ・駐車スペース |
必要な備品・設備
そのほかに必要な備品や設備には以下のようなものがあります。
- 事務関連
- パソコン・通信機器
- 鍵付き書庫(記録等の保管用)
- 訪問看護用
- 医療機器一式(血圧計、体温計など)
- 訪問看護バッグ
- 訪問用車両(購入orリース)
- 衛生材料・薬品類
事業所の広さは決められていませんが、スタッフの動線や収納スペースも考慮して、余裕を持った面積を確保することが望ましいでしょう。
訪問看護ステーション立ち上げの資金計画
開設には通常1000万円から2000万円規模の資金が必要です。地域特性や規模により金額は変動しますが、黒字化までの運転資金も含めた計画が重要です。
初期費用の内訳目安
初期投資として必要な主な費用項目を以下に示します。
項目 | 概算金額 | 備考 |
---|---|---|
事務所費用 | 100-300万円 | 保証金、内装工事費、家賃2-3ヶ月分 |
設備・備品 | 150-250万円 | 医療機器、事務機器、システム導入費 |
運転資金 | 350-1400万円 | 売上が安定するまでの諸経費 ・人件費 ・家賃・光熱費 ・車両・燃料費 など |
その他 | 50-100万円 | 広告宣伝費、保険料、諸手続費用 |
資金調達の方法
立ち上げには多くの費用がかかりますが、複数の調達手段を組み合わせて、必要資金を確保します。
自己資金
自己資金の確保は、事業の安定性を支える土台となります。必要な金額は以下の通りです。
・目安:総額の20-30%以上 ・融資審査で重視される項目 ・開業後の資金繰りに直結 |
立ち上げ時に活用できる助成金・補助金
いくつかの補助金や助成金制度を活用することで資金調達の負担を軽減できます。立ち上げ時の負担軽減に活用できる主な制度は以下のとおりです。
- 都道府県による開設支援補助金
- 対象:設備費、備品購入費
- 上限額:100-300万円(地域により異なる)
- 雇用関連の助成金
- 両立支援等助成金:職場環境の改善に取り組む事業所を支援する制度で、複数のコースがある
(参照:厚生労働省「仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ」) - 業務改善助成金::業務効率向上のための設備導入や従業員の最低賃金引き上げに活用できる
(参照:厚生労働省「業務改善助成金」) - IT導入補助金::ITツールの導入費用の一部を補助する制度
(参照:IT導入補助金2024) - ICT補助金:介護・医療業界におけるICTツールの導入費用を補助する制度
(参照:厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」)
- 両立支援等助成金:職場環境の改善に取り組む事業所を支援する制度で、複数のコースがある
立ち上げ後に活用できる助成金
- キャリアアップ助成金(正社員化コース):非正規雇用の従業員を正社員に転換する際に活用できる
(参照:厚生労働省「キャリアアップ助成金」) - 働き方改革推進支援助成金: 労働時間の適正管理推進などに活用できる
(参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金」) - 訪問看護推進総合事業::東京都や大阪府など、一部の自治体で実施されている訪問看護ステーション支援制度
助成金や補助金の制度は年度ごとに変更される可能性があるため、最新の情報を各制度の公式ウェブサイトで確認することが重要です。
また、申請には細かい要件や手続きが必要なため、税理士などの専門家のアドバイスを受けることも検討するとよいでしょう。
融資の種類と特徴
補助金・助成金以外の資金調達方法として、以下のような融資制度があります。
- 民間金融機関
- 事業性ローン
- クラウドファンディング
- リース活用
- 日本政策金融公庫(福祉医療事業支援)
(参照:日本政策金融公庫)
黒字化までのキャッシュフロー計画
事業の安定化には通常6ヶ月から1年程度かかります。実績に基づく具体的な収支目安を紹介します。
【収入見込み200-400万円(月額)】 ・当初訪問看護収入:150-200万円 (立ち上げ時職員4名を想定) ・加算収入:50-200万円 |
【支出見込み80-250万円(月額)】 ・人件費:50-150万円(収入の60-70%が目安) ・家賃・光熱費:5-20万円 ・車両・燃料費:10-15万円 ・その他経費:20-30万円 |
資金計画は、自己資金と借入金のバランスを考慮し、返済負担が重くなりすぎないよう計画することが重要です。特に開設から6ヶ月程度は、十分な運転資金を確保しておくとよいでしょう。
訪問看護ステーション立ち上げの事業計画
事業計画は開業の羅針盤です。地域のニーズを捉えた差別化戦略と、現実的な成長計画を立てましょう。
地域のニーズと競合分析
開設場所の選定は事業成功の重要な要素です。以下の4つの視点から分析を行います。
調査項目 | 具体的な内容 | 情報源 | 活用方法 |
---|---|---|---|
人口動態 | ・高齢化率と推移予測 ・要介護認定者数 ・世帯構成の特徴 | 市区町村の統計データ | 潜在的な利用者数の算出 |
医療環境 | ・病院・診療所の分布 ・在宅療養支援診療所の数 ・在宅医の活動状況 | 医師会、地域包括支援センター | 連携先の開拓計画立案 |
競合状況 | ・医療法人・施設の訪問看護併設率 ・訪問看護事業所の分布 ・サービス内容 | 介護サービス情報公表システム | 差別化戦略の立案 |
地域特性 | ・交通アクセス ・住宅環境 ・地域住民の特性 | 現地調査、不動産会社 | 訪問効率の予測 |
特に重要なのは、その地域にある医療法人や施設の訪問看護併設率です。併設率が高い地域では、新規利用者の確保が極めて困難になるため、開設地域としては避けた方が賢明でしょう。
飽和市場での差別化戦略
地域のニーズを見極めた上で、以下のような差別化戦略を打ち出します。
- 専門特化型
- 小児専門(医療的ケア児への対応)
- 精神専門(精神疾患患者への専門的ケア)
- リハビリテーション強化(理学療法士等との連携)
- 認知症ケア(専門研修修了者の配置)
- 対応力重視型
- 24時間365日の緊急対応体制の充実
- ターミナルケア対応の専門看護師(看取りまでの一貫したケア)
- スタッフの専門性(認定看護師の在籍など)
- 地域との密接な連携体制
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持続可能な運営体制の構築
長期的な成長を見据え、以下の3つの体制整備が重要です。
- 収益構造の安定化
- 利用者数の段階的な増加
- 加算算定の適切な実施
- 診療報酬と介護報酬のバランス(リスク分散)
- 効率的な訪問ルート設定による経費削減
- 人材育成・定着
- 教育研修体制の整備
- 働きやすい環境づくり
- キャリアパスの明確化
- メンター制度の導入による新人教育
- 地域連携の強化
- 医療機関とのネットワーク構築
- ケアマネージャーとの関係づくり
- 地域包括支援センターとの連携
- 医師会や訪問看護協会への加入
このような計画に基づき、開設後3年間の具体的な成長戦略を立案します。
特に初年度は、基盤固めの期間として位置づけ、無理のない成長ペースの維持を心がけましょう。地域のニーズに寄り添いながら、一歩一歩、信頼される事業所を作り上げていきます。
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事業計画書の書き方
事業計画書は、融資審査の重要書類であり、開設後の経営指針となります。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
- 事業の概要:事業の全体像を簡潔に説明します。
- 理念と経営方針
- 提供するサービス内容
- 目指す事業所像
- 3年後の目標を簡潔に記載します。
- 地域需要の分析:地域の現状と将来性を具体的に示します。
- 地域の医療・介護ニーズ
- 競合状況の分析
- 収支計画:融資を受ける場合、このセクションは特に重要です。
- 初期投資の内訳
- 月次の収支予測
- 黒字化までのスケジュール
- リスク管理:想定されるリスクとその対応策を明記し、持続可能な運営計画を示します。
- 人材確保のリスク
- 資金繰りのリスク
- 緊急時の対応体制
事業計画書は単なる書類ではなく、経営の指針そのものです。作成の際は、税理士などの専門家に相談し、説得力のある内容に仕上げることをお勧めします。
訪問看護ステーション立ち上げの手続きと準備
開設までの道のりは、法人設立から事業開始まで複数の手続きが必要です。一つ一つ確実に進めていきましょう。
法人設立の手続き
開設の4ヶ月前から、以下の手順で法人設立を進めます。
1. 法人形態の選択(開設4ヶ月前まで)
まず最初に、事業規模や将来的な展開を考慮して、法人形態を決定します。主な選択肢となる株式会社と合同会社には、それぞれ以下のような特徴があります。
- 株式会社:資金調達がしやすい、社会的信用が高い
- 合同会社:設立費用が安い、運営の自由度が高い
なお、株式会社の場合、設立時に必要な費用の目安は合計40万円ほどで、内訳は以下のとおりです。
項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
公証人手数料 | 5万円程度 | 定款認証に必要 |
登録免許税 | 24万円 | 資本金額により変動 |
定款作成 | 5-10万円 | 専門家に依頼する場合 |
印鑑作成 | 1-2万円 | 実印・銀行印 |
2. 定款(ていかん)作成(開設3ヶ月前まで)
法人の基本規則となる定款の作成は、法人設立の要です。訪問看護事業を行う上で必要な事項をすべて盛り込む必要があり、専門家への相談をお勧めします。作成の手順は次の通りです。
- 司法書士に相談(初回相談は無料が多い)
- 必要書類を準備
- 会社の目的に「訪問看護」を明記
- 資本金額の決定(法定最低額なし)
- 本店所在地の確定
- 定款の公証人認証を受ける
3. 会社設立登記(開設2.5ヶ月前まで)
登記申請には以下の書類をすべて揃える必要があります。
・認証済み定款 ・印鑑証明書(代表者) ・本店所在地の証明書類 ・資本金の払込証明書 ・代表者印 ・登録免許税の納付証明 |
4. 会社設立後の実務(開設2ヶ月前まで)
法人登記が完了したら、実際の事業活動を始めるための準備に入ります。これらの手続きは、並行して進めることで時間を効率的に使えます。
1. 法人印の作成(実印・銀行印) 2. 法人印の印鑑登録 3. 法人口座の開設 4. 税務署への届出(法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など) 5. 社会保険・労働保険の手続き |
開設申請の手続き
いよいよ訪問看護ステーション開設申請の手続きに入ります。以下の手順で進めていきましょう。
- 事前相談(開設3ヶ月前)
市区町村または都道府県への事前相談に相談します。
事前相談では、開設までのスケジュールを明確にします。特に重要なのは「いつまでに申請書を提出すれば、希望の時期に開設できるか」という点です。
相談時には以下の情報を準備します。- 開設予定地の住所
- 開設希望時期
- 管理者予定者の資格と経験年数
- 開設形態(医療保険・介護保険の実施有無)
- 申請書類の準備・提出(開設2~1.5ヶ月前)
事前相談を終えたら、申請書類の準備に取り掛かります。自治体などによって様式や記載方法が異なるため、指定された形式に従って作成・提出します。
一般的に以下の書類が必要です。- 指定申請書(第1号様式)※法人印必要
- 登記事項証明書
- 事業所の平面図
- 設備・備品等一覧表
- 従業者の勤務体制一覧表
- 運営規程 ※法人印必要 ※申請時点では従業者の勤務体制は「予定」として提出可能
各種保険届出と契約
開設の許可を得たら、事業を実際に始めるために必要な届出と契約の準備に入ります。
- 保険関係の届出
従業員が安心して働くためにも、以下の手続きは確実に行いましょう。- 健康保険・厚生年金保険(年金事務所)
- 労災保険・雇用保険(労働基準監督署)
- 訪問看護事業者賠償責任保険
- 契約書関係の整備
必要な契約関係を整備します。まずは雛形を作成し、社会保険労務士などの専門家にチェックを依頼すると安心です。- 利用者との契約書類(重要事項説明書、利用契約書、個人情報使用同意書)
- 従業員との雇用契約書
- 就業規則
- 各種契約の締結
事業運営に必要な契約を結びます。- 事業所の賃貸借契約
- システム導入・保守契約
- 駐車場の確保
専門家への相談について
法人設立や開設準備には、以下の専門家に相談するとよいでしょう。
・司法書士:法人設立の手続き全般をサポート、会社の登記申請などを代行 ・社会保険労務士:従業員の労務管理、社会保険の手続きなどをサポート ・税理士:会社の税務、会計処理、確定申告などについて助言 |
多くの場合、初回相談は無料で受けられます。
特に訪問看護の開設実績がある事務所を選ぶことがポイントです。開設後も継続的なサポートを受けることになるため、相談のしやすさや費用面もしっかり確認しましょう。同業者からの紹介も有効な手段です。
≫関連記事:【経営管理をサポート】訪問看護ソフトとは?|運営状況の可視化から業務効率化まで徹底解説
訪問看護ステーション立ち上げのための体制づくり
サービスの質と経営の安定性は、適切な体制づくりから始まります。特に小規模ステーションでは、限られた人員での効率的な運営が求められます。
スタッフの採用と育成
経営者兼管理者として事業を始める場合、すべてを一人で抱え込みがちです。しかし、スタッフの意欲と能力を活かすことが、サービスの質と経営の安定につながります。
特に開設時の採用は、その後の運営を大きく左右する重要な局面です。
採用・育成のポイントは以下のとおりです。
場面 | 重視すべき点 |
---|---|
採用時の確認 | ・価値観の共有 ・コミュニケーション力 ・24時間対応への理解 |
育成方法 | ・個々の強みを活かす ・チームワークの重視 ・経営感覚の共有 |
面接では、小規模ステーションならではの「全員で支え合う」という考え方への理解を特に重視します。経験やスキルは入職後に補えますが、価値観の不一致は運営に大きな支障をきたす可能性があります。
≫関連記事:訪問看護師がすぐ辞める理由と対策 – 管理者のための人材定着ガイド
業務の基本の仕組みづくり
小規模だからこそ、効率的な業務の仕組みが重要です。以下の項目について、基本的なルールを共有し、スタッフ間で話し合いながら改善していける仕組みを作っていきましょう。
項目 | 具体的な方法 | 工夫のポイント |
---|---|---|
利用者受入れ | ・初回相談の手順 ・アセスメント方法 | ・事務職と看護職の役割分担 ・主治医との連携方法 |
日々の訪問 | ・訪問準備の手順 ・記録と報告の方法 | ・必要物品の定位置化 ・効率的な記録様式、ソフトの活用 |
24時間対応 | ・オンコール当番の決め方 ・情報共有の方法 | ・負担の分散 ・情報共有ツールの活用 ・バックアップ体制 |
リスク管理体制の整備
リスク管理は経営の基盤となります。安全なケア提供のため、以下の体制を整備します。
項目 | 整備のポイント | 実践上の工夫 |
---|---|---|
緊急時対応 | ・連絡網(職員&関係機関)の整備 ・判断基準の明確化 | ・定期的なシミュレーション ・スタッフの携帯でアクセスできる情報共有方法 |
感染対策 | ・標準予防策の徹底 ・発生時の対応手順 ・必要物品の確保 | ・定期的な研修実施 ・チェックリストの活用 ・使い切りの目安を決めて在庫管理 |
インシデント報告 | ・報告基準の明確化 ・報告様式の統一 ・分析方法の確立 | ・報告しやすい環境づくり ・事例の分析と共有 |
クレーム対応 | ・対応窓口の設置 ・記録と報告の手順 | ・初期対応の標準化 ・再発防止策の共有 |
虐待防止 | ・早期発見の視点 ・報告の仕組み ・相談窓口の設置 | ・担当者会議での気になる事例の共有 ・行政との連携体制 ・記録の適切な保管 |
BCP対策 | ・最低限の優先利用者リスト ・災害時の連絡方法 | ・実現可能な計画作りと見直し ・地域の医療機関との「顔の見える関係」づくり |
まとめ
訪問看護ステーションの立ち上げは、経営者としての視点も必要とする挑戦です。特に小規模ステーションでは、経営者・管理者・現場責任者のすべてを一人で担うことになります。
成功のカギは、開設前の周到な準備と、共に歩むスタッフとの信頼関係づくりにあります。
地域のニーズを見極め、無理のない規模からスタートすること。そして、一人で抱え込まず、スタッフの意見を活かした風通しの良い職場を作ること。この2つが持続的な成長への土台となります。
立ち上げは容易な道のりではありません。しかし、理念と熱意を大切にしながらも、現実をしっかりと見据え、一つ一つの準備を重ねることで、地域の在宅療養を支える新しい価値を生み出すことができます。
地域に根差した訪問看護ステーションとして、一歩ずつ成長していきましょう。
≫関連記事:「【事例から学ぶ】訪問看護ステーション立ち上げで失敗しないための完全ガイド」
えがおDE看護は”電子カルテ機能”と”レセプト請求機能”に特化して、26年現場の声や複雑な制度に対応し続けているので、訪問看護ステーション業務をお任せできます。
管理者の本来の使命であるステーション運営を通じた「良質な看護サービスの提供」 に当たり前に集中できる毎日を実現します。是非お問い合わせください。
最後までご覧くださりありがとうございました。